船橋洋一「戦後敗戦」を読んでいる。「この敗戦の現実を直視しなければならない」。まったくそうだが、私が何となく直感で思っていた日本企業の技術者のアジア流出の過去が克明に描かれていたのには驚いた。

「2013年、知財アナリストの武藤謙次郎はサムソンで特許出願にかかわった日本人技術者485人を追跡調査し、彼らの出身企業を調査した。パナソニック53人、NEC47人、東芝39人、日立製作所39人などと日本の半導体・電機大手がずらりと並んだ。武藤はまた、サムソンの横浜研究所における日本人技術者の推移を分析した。2009年までは毎年、20人程度の増加だったが、2010年に52人へと急増している。リーマンショックによって経営苦境に陥った日本企業によるリストラで放出された技術者をサムソンがさらっていった実態が浮かび上がってくる。日本は当初、技術者引き抜きの動きをさほど警戒していなかった。半導体の強者としての驕りとキャッチアップしようとする「弱者」韓国勢への軽視があったのだろう」

「韓国とインテル、台湾とテキサス・インスツルメントの戦略的関係の登場に気付くのが遅れた」