保険会社(Insurance company)に「海上(marine)」の名前がついていることに気付いたことがあるだろうか。なぜ保険に海上がつくのか、それは保険会社の誕生したのが海上貨物の補償と強いつながりがあるからなのだ。東京海上火災保険の前身、東京海上保険は明治11年、岩崎弥太郎らを中心に設立された。創業当初の商品は貨物保険、つまり海運業の貨物が被害に遭った時に補償するシステムが不可欠だった。

ヨーロッパでの保険の起源は、ロイズ(Lloyd’s)保険会社といわれる。イギリスには多くのコーヒーハウスがあった。その中のロンドンのシティーのロイズ・コーヒー・ハウスは、船主たちが多く集まり、店では船舶情報を載せる「ロイズ・ニュース」を発行していた。やがて店で船舶保険業務を取り扱うようになったという。半ば賭けのような形で個人が出資金を出し合って組織をつくり、海運会社から保険金を取った。海上貨物が無事届くと保険金は出資者に分配された。逆に被害に遭うと出資者は被害額の補填を求められた。その組織にmarineの名前が被せられたのだ。marineから発生した損保会社はその業務を火災に広げていって現在の形になる。

一方、生命保険の起源もイギリスにある。17世紀のイギリスで、教会の牧師たちが組合を作り、自分たちに万が一のことがあった場合に遺族へ生活資金を出すために保険料を出し合う制度をはじめた。だが、この制度では全員が同じ金額の保険料を支払っていた。死亡率は年齢とともに上がっていくので、若い人よりも年をとった人の方がお金をもらえる可能性が高く不公平だった。そのため組合はほどなく解散した。その後、イギリスの数学者、ジェームス・ドドソンによって、新たな保険料分担の手法が編み出され、1762年に世界で初めて近代的な保険制度に基づく生命保険会社が設立された。日本では、福沢諭吉が「西洋旅案内」で生命保険を紹介し、1881年に欧米の近代的保険制度を手本として生命保険会社が設立された。

世界の生命保険会社で特徴的なのは多くが相互会社という形態をとっていることである。保険をかける人が社員となる。株式会社でないので株主がいない。株主総会に代わるものとして社員総会がある。社員全員が総会に出席できないので社員総代が社員を代表して会社の方針を議決する。