早くも日中韓首脳会談のお誘い
朝日新聞は9月2日夕刊で「日中韓、来月首脳会談へ 中国・天津で8日で最終調整」というニュースを一面トップで報道した。早くも中国から鳩山政権に秋波が送られてきた。
鳩山代表は月刊誌への投稿ですでに「東アジア共同体」の創設を提唱。内外の関心を呼んでいた。日中韓の提携は明治維新このかたのアジアの課題である。鳩 山代表は、祖父が提唱した友愛政治の継承を掲げ、大戦間にオーストリアのクーデンホーフ・カレルギーが訴えた戦争のないヨーロッパへの共感がある。アジア 版のEUがあってもおかしくないという考えが根底にある。
中国は10月1日、建国60周年を迎える。その直後に日中韓の首脳が語り合うことには大きな意義がある。日中韓が提携してアジアのためによりよき時代を築けといったのはマレーシアのマハティール首相である。歴代の日本の首相はアジアに軸足を置くことを躊躇ってきた。
これまで日中韓の首脳会談は「ASEANプラス3」の枠組みの中で行われてきた。独立した首脳会議が実現できなかったのは、自民党政権内にアメリカへの 配慮があったからである。外務省の中にもアジア主義者は少なからずいるはずである。アメリカとの安全保障体制には多少のひびが入るであろうが、敵対すると いうのではない。10月8日開催予定の日中韓首脳会議は3カ国それぞれにとって大いなる期待がある。
もっといえば2年後の2011年は辛亥革命100周年となる。満州族の支配から脱却することが孫文の命題だっ た。腐敗した清国の政治を刷新し、日中が相携えて世界に伍して発展するという理念に多くの日本人が共感した。政治家でいえば犬養毅、頭山満、宮崎滔天、山 田良政……。
100年の月日を経て、ようやく日中韓三国が対等に語り合える場を見出したのだから、これも革命的である。(伴 武澄)