8月30日の総選挙で民主党が308議席を獲得してから10日目。16日まで政権はまだ自民党にあるから、河村官房長官は毎日、官邸での記者会見で民主党の政策を批判している。鳩山由紀夫代表が講演での「25%二酸化炭素削減」発言である。すでに野に下ったはずの政権のスポークスマンにマスコミ各社が与党となる民主党の政策について質問している姿はどうもふに落ちない。
 アメリカの大統領制は11月に大統領選があって新大統領就任は1月の末だから、2カ月近くの移行期間がある。ブッシュ政権からオバマ政権に移行する間にホワイトハウス報道官がまだ始まってもいないオバマ次期大統領のマニフェストについて批判するような光景はあっただろうか。
 面白いのは、今日9日の紙面である。鳩山代表の「25%二酸化炭素削減」について共同通信は「温室ガス25%削減に歓迎相次ぐ 国際社会、米中への影響に関心」という見出しで国際社会が鳩山発言を好意的に見ていることを紹介している。一方、読売新聞2面に「25% 反発相次ぐ」という横見出しで、二階堂経産相、河村官房長官と産業界の意見を紹介している。
 総選挙の投開票後ずっと、メディアの報道ぶりを観察してきた。政権は革命的に変わるというのに、大手メディアはいまだ55年体制の中にいる。パソコンの世界でいえば、フォーマットが済んでいない状態だ。行間に「文字化け」が続いているような気がする。読売新聞がこのまま自民フォーマットのまま発行を続けるのは勝手だが、筆者を含めた公称1000万部の読者はたまらない。(伴 武澄)