2007年12月20日、経産省が白熱球の生産・流通中止を求めたニュースに接して、「白熱電球廃止策に思う」と題してコラムを書いた。環境問題に端を発した施策であるにしても「禁止」というのはいささか無謀だと思ったからである。
 今日の多くの紙面に「LED電球 パナソニック参入」というニュースが掲載された。エジソンが電球を発明してから130年目にあたる10月21日に発売するという。
 LED電球は耐久性や経済性に優れていたことが分かっていたが、価格が高かった。このため、使途は交通信号や自動車のテールライトなどに限定されていた。それが、今年3月、東芝が1万円、6月シャープが4000円で参入すなど参入企業が相次ぎ、ほぼ大手企業が出そろった。
 東芝、パナソニックは元々、電球をつくってきた企業だが、シャープや三菱化学は初参入である。発光ダイオード(LED)はそもそもが半導体と製造工程が似ているから、異業種からの参入がたやすいという特徴がある。
 LED電球は消費電力が白熱球の8分の1。耐久性は40倍といわれる。白熱球の小売価格は100円程度だから、40倍の価格でもコストに見合うことになる。これから価格競争が激しくなる。10年前、40万円も50万円もしていた液晶テレビの価格が短期間で半値以下、3分の1ぐらいまで下がってきたことを考えれば、需要拡大は一気に加速するはずだ。
 家庭の電気消費のかなりの部分を占める電球がLEDに置き換われば、それだけで5%内外の二酸化炭素削減につながる。鳩山由紀夫次期首相はすでに2020年までに日本の二酸化炭素排出量を25%削減すると公約した。電気自動車の普及もコストとの競争となる。LEDの場合がまもなく普及期に入ることは確実だ。鳩山さんの公約に追い風が吹いている。(伴 武澄)