日本列島を強く豊かに?
今週初め、土佐清水まで車を走らせたが、一番印象的だったのが道路沿いの新しい高市内閣のポスター。ほとんど「日本列島を強く豊かに」に張り替えられていることである。とにかく目立つのである。日本を強く豊かにではなく、「日本列島」を「強く」なのである。当初からこの標語は明治時代の「富国強兵」とイメージが重なるとされてきた。この富国強兵策は自民党の政策ではない。安倍政権以来の政権がとってきたこの十数年の政策で、高市政権によってさらに一段と強化されようとしている。その第一弾が防衛装備移転三原則の運用指針改定。4月21日の閣議で決まった。武器輸出三原則はすでに2014年に武器の禁輸政策を転換して以降、骨抜きにされてきたが、今回の見直しで戦闘機やミサイルを含むすべての武器の輸出が可能となる。いわゆる殺傷能力のある武器にも輸出が拡大されることになった。問題は国家安全保障会議(NSC)が輸出の可否を決定することである。NSCってそもそも首相、官房長官、外相、防衛相の4人。国会の事前承認は必要とせず、決定後に全議員へ通知するだけ。アメリカでは武器輸出は議会の決議が不可欠。かつてF22戦闘機の日本への輸出を大統領が認めたのに、議会が禁止したこともある。最先端技術の戦闘機はアメリカ以外には使わせないということだった。
武器輸出三原則は非核三原則と並んで戦後日本の平和政策を象徴する原則だった。そもそも、佐藤内閣の1967年、政府統一見解として、①共産国②国連が禁止決議をした国③紛争当事国の三つの国に対して武器の輸出はしないことを決めた。三木内閣になって、①から③以外の国に対しても輸出を慎むという政府見解が打ち出された。
武器輸出を拡大することで経済成長を促すのが目的ではあるが、かつて宮沢首相は「武器輸出するほど日本は落ちぶれていない」と発言していたが、これに対して高市は「時代は変わった」と答えている。過去の侵略戦争や植民地支配に対する「戦争責任」についても、自身が戦後生まれであることを理由に「反省」や謝罪を求められる筋合いはないという立場を取ってきた。そもそも国家を背負うという自覚もない人物。
では、防衛装備移転三原則の運用指針の改定によって直ちに武器の輸出が始まるかというとそうでもない。武器輸出はその武器が戦場で使われて、初めてその性能が評価される。戦争をしない国の武器が売れるはずがないとの説もないわけではない。武器を売るために戦争をするということだって考えられないことではない。「中国の台頭による軍事バランスの変化、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮の核・ミサイル開発により戦後最も厳しい状況にある」などとする日本をめぐる安全保障環境の認識にしても安部元首相以降の政権が勝手に作り出した“妄想”ではないかと思っている。
