FDAがゴールデンウイーク中、高知―熊本間のチャーター便を飛ばすというので、2泊3日で熊本を訪ねた。台湾TSMCの半導体工場が完成したというのでその外観でも見ておきたかった。とにかく投資規模が86億ドル(1兆3000億円)とけた違いであるのに加えて、1700人の雇用も今の日本ではとんでもなく大きい。すでに同規模の第2工場の建設も決まっている。第2工場を併せると投資規模も雇用も倍増する。バブル時代、日本企業が相次いでアジアに進出した。その逆効果がいま、熊本で生まれていると感じた。

 熊本市の「九州フィナンシャルグループ」は県内の波及効果は10年間(2031年まで)で6兆8000億円余りに上ると試算、「九州経済調査協会」も、TSMCを含む九州の関連投資によって、10年間で及効果が約20兆円に達するという推計を公表した。九州地区に日本を覆うデフレ感はない。

 第1工場の1700人のうち、台湾のTSMC本体から派遣される技術者320人、ソニーグループからの技術者200人、新卒と中途の新規採用計約700人、アウトソース(外部委託)約500人。驚くべきは昨年の採用で大卒28万円という初任給を提示したことだった。今春の春闘で大手銀行が初任給を25万円以上と2割以上上げたことが話題となったが、多分に政府主導による賃上げだった。熊本ではその先の先を行っている。熊本銀行は来年度採用の大卒初任給を26万円に引き上げた。熊本は今後、日本の賃上げのリードオフマンになるだろう。そして隣接自治体への波及効果も決して小さくない。やがて余波が四国にも及ぶはずだ。

 1980年代、熊本や大分にはNECや富士通の半導体工場が進出し、九州はシリコンアイランドと呼ばれたこともある。東京企業の投資で栄えた。地元資本だったわけではない。今回は台湾資本の進出である。国際化の時代に資本の本籍は問われない。一番重要なのは雇用の創出である。そして賃金である。地元企業の2割増し、3割増しの賃金が支払われるのだったら大歓迎であろう。

 熊本空港の国際便は、台北便が1日ほぼ2便、香港、仁川にも飛んでいる。月曜日の朝、市の中心部から熊本駅まで乗った市電は外国人観光客で超満員。オーバーツーリズムという言葉は知っていた。東京での外国人でいっぱいで、宿泊費は高騰している。まさかそんな光景を熊本市で体験するとは思わなかった。日曜日は阿蘇の知り合いが車を出してくれて、外輪山から中岳火口まで行ったが、ここでも渋滞の列。高知県ではまだ「観光客誘致」などを叫んでいるが、熊本県ではこれ以上、観光客が流入しないよういろいろな規制が始まっている。

2年で5000億円の設備投資を迎える三重県

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