「安倍派、裏金9000万円超議員も」。7日の高知新聞一面トップの記事には誰もが驚いただろう。自民党のパーティー券問題には検察も動き出した。パー券疑惑は安倍派、二階派、そして麻生派にまで広がっている。今週4日の朝日新聞は、岸田首相「首相、旧統一教会系と面談」。翌日は「米国教団元会長も同席か」(写真付き)と連続スクープ。今朝の朝日は「松野官房長官に裏金か」。岸田首相の支持率は軒並み20%台に低下している。1月からの通常国会では、野党からの追及は必至、内閣不信任も突き付けられるだろう。もはや断末魔といっていい。

 そもそも政治資金規正法は、リクルート事件に端を発して大きく改正された。政治家はパーティー以外にも政治資金を集める手段がある。それぞれで受け取れる資金が異なる3つの「財布」を使う。資金管理団体、選挙区単位で設ける政党支部、そして後援会などの関係政治団体だ。1990年代の政治改革では、必要以上に献金集めをしなくてすむように国民1人あたり250円の負担で政党交付金制度をつくった。政党の議員数や国政選挙での得票数で分配する。交付金は総額、150億円。政治家個人への企業献金は禁止されたが、穴はいくつもあいている。今も経団連は年間25億円を自民党に献金している。

 パーティー券は一人20万円以上を購入した場合、政治資金として帳簿への記帳が義務付けられているが、二口に分ければ、記載義務がない。派閥パーティーの場合、傘下の議員へのノルマがあり、ノルマを越えた分を販売すれば、キックバックとして議員に返還される仕組みもある。それもおかしな話だが、黙って自分の手元に置いて裏金にする議員も少なくない。安倍晋三氏による自民党長期政権は、政治家のお金に対する感覚をマヒさせたといっていいだろう。