高知市が高知市議選の前に行った自由民権記念館の指定管理者選定に疑義がある。市が優先団体として決定したシダックス・グループは給食や配食を中心人展開してきた企業。昨年4月1日から高知市の龍馬の生まれた町記念館の指定管理者を務めており、高知県内では室戸市でスクールバス運営と給食の配達業務を下請けしている。全国的には、公立小中学校520カ所で給食業務を受託している。北海道の湧別町では文化・スポーツ施設17カ所の運営を包括業務委託を行っている。いたるところで行政サービスのい下請け事業を拡大中である。

今回、問題としたいのは、龍馬の生まれた町記念館の指定管理である。高知市は申請できる要件としてまず、「高知市内に本社、支社、営業所を有する」必要があるとしており、ない場合でも「施設の指定期間の始期までに」設置できれば、よいとしている。一般的理解では「指定期間の始期まで」は「3月31日まで」であろう。総務部に問い合わせたところ「4月1日に営業所の開設報告があった」という。資格要件を満たしていなかったといっていい。しかも営業所の設置場所は龍馬の生まれた町記念館だというから驚く。民間企業の営業所が公的施設内にあることの方が問題は大きいかもしれない。

次に「支社又は営業所等」について「協定締結権限等一定の代理権を付与されている従業員が配置されたものかつ高知県税及び高知市税を納めるもの」と定義している。「報告があった営業所」にはそんな従業員は配置されていない。そもそも法務局への登記もされていないから、社内の単なる営業所扱いでしかない。龍馬の生まれた町記念館の管理は広島市にある中四国ブロックを統括する部署によって行われている。ここでも要件を満たしていない。

第3に、4月に任命された館長は1カ月で退任、3カ月ほど官庁不在の時期もあった。法令順守に厳格であるはずの高知市役所がこのような単純な「違反」行為を見逃してきたとすれば、それこそ選定責任者の責任が問われる問題でもあろう。

そんなシダックス・グループが今回、高知市自由民権記念館の審査委員会の審査に通ったのだから摩訶不思議である。