11月22日午後8時から、第3回「教職員と議員のつどい」がZoomで開催された。テーマは学校教育における「余剰時数」という問題。普通の人にはあまり聞きなれない言葉だが、文科省の教育要綱の中の概念で、教育委員会が、文科省の定めた標準授業時数に加えて「余分」に授業時間を設けていいということになっている。災害や流行性疾患で授業ができなくなった時のための措置である。余剰時数がゼロでやっている自治体は少なくないが、どういうわけか高知県では異常に多い。

 高知県では小中学校の学力水準が全国と比べて相当に低かった時代があり、余剰時数を活用して「学力向上」を図ろうとしたためである。問題は、小学校の低学年でも5時間、6時間授業の日があり、先生方に過重な労働を強いらせていることである。そもそも教師の働き方改革に反する行為である。長時間労働を強いられた結果、病気になる先生が増えている。先生が休んでも代替の先生が来ないので、残った先生方でやりくりせざるを得ず、さらに過重な労働環境を生み出す。そんな負のスパイラルになっているというのだ。

 本来、先生の労働環境を改善するには先生の数を増やせばいいのだが、昨今の財政状態では現実的でない。余剰時数を減らせば、どこでもすぐにできる改善策の一つなのだ。

 この問題に早くから取り組んでいる土佐町議の鈴木大裕氏によれば、文科省もこの問題で「先生の過重労働を軽減するべき」との方針で、8月に余剰時数の削減を求める通達を出している。その中で「災害などでたとえ時数が不足しても違反ではない」「年度途中でも見直すべき」としている。

 この日の勉強会で、鈴木氏は県内の市町村議会で教育委員会に対して余剰時数の削減に向けて協力するよう求めた。まず余剰時数の実態を調査し、何に使われたのかを追及すべきで、削減を求めている政府方針への対応も質すべきだとした。ほとんどの先生方は増えた授業への準備をする余裕もない。授業の準備もできないで「学力向上」も何もない、というのが鈴木氏の主張だ。土佐町議会で、昨年からそんなやりとりを教育委員会と繰り返し、今年度から余剰時数を20時間以上も減らすことに成功した。