内閣府が発表した2023年7-9月期の国内総生産(GDP)は、物価変動を除く実質で前期比0.5%減、年率換算は2.1%減だった。1-3月期は3.7%、4-6月期は4.5%だったが、3期ぶりにマイナス成長に転じた。GDPは個人消費、設備投資、住宅投資、公共投資の内需と輸出で構成される。このうちGDPの5割超を占める個人消費が減少した。

 一方、企業業績は絶好調。2023年3月期に純利益が過去最高だったのは全体の4社に1社。11月に発表された2024年3月期の上場企業の純利益見通しも前期比13%増と9月時点の6%増から上振れした。3年連続で最高益となる。もちろん円安や穀物・エネルギー価格高騰も貢献している。特に海外での値上げは円安によってダブルに貢献する そして企業の内部留保も増加。2022年度の大企業の内部留保は511.4兆円と500兆円を超えた。

 企業業績が右肩上がりなのに、GDPがマイナスとなる理由が分からない。マスコミは消費者の節約志向が浸透していると分析しているが、日常生活に必要な物資の節約には限界がある。たぶん海外で稼いだ利益が国内に還流していないことが最大に理由だと思う。

 問題は賃金が上昇しても物価高に追い付かないことだ。また高齢者の来年度の年金支給額が、また目減りするにが確実の情勢。16日付の日経新聞の見出しは<年金額2年連続で抑制 24年度 0.4%分目減り試算>。本来、月22万4482円もらっていたモデルケースで言えば、23万1216円に上昇するはずなのが、23万319円にしか上がらず、年間で約1万770円も支給額を減らされる。政府が「マクロ経済スライド」を発動する方針だという。マクロ経済スライドとは、物価や賃金が伸びた場合、年金支給額も増えるが、増額幅を物価や賃金の伸びよりも小さくするという制度だ。

 サラリーマンの生活は賃金上昇が物価高に追い付かず、年金生活者は年金を実質減額される。4万円の定額減税など何の意味もない。再来年以降、防衛費増額のための大幅増税が待っていることは国民のだれもが知っている。岸田内閣はもう持たないかもしれない。