元慶応大学経済学部教授の金子勝さんがユーチューブで盛んに日本の財政のいかさまぶりを解説している。金子さんが強く指摘しているのは「予備費」である。2022年度予算で11.76兆円もの予備費を計上している。乙諸予算は5.5兆円だったものが、一次補正、二次補正で2倍に膨れ上がってしまった。予備費は使途を決めない予算で、かつては台風など災害復旧のために5000億円程度計上するのが常だった。

 これがコロナ以降、とんでもない金額に膨れ上がってしまっている。結果的に2022年度決算では11.3兆円もの「不要額」が生じている。予算が余ったのではない。金子さんは「余らせた」と言っている。巨額な予備費の財源は国債である。つまり借金で捻出している。本来、予算が余れば、国債の返済に使うのが常道である。それをこの国の財政は剰余金として残し、来年度以降に使おうというのである。何に使うのか、当然、これから増える防衛費である。すでに国会で予備費として計上されているから、政府は何に使ってもかまわない。防衛費増大の最大の問題は財源だったはずである。それを予備費から出そうというのだからおかしい話だ。

 知らず知らずのうちに日本は戦争ができる国家になっている。転機は安倍政権による集団安全保障への自衛隊出動容認である。南西諸島へのミサイル配備はとんでもないことになtっている。2019年3月、奄美大島と宮古島に地対空ミサイル、地対艦ミサイル基地が開設されている。2023年3月には石垣島にも同様にミサイル基地が建設された。与那国島にもミサイル基地の建設が予定されている。沖縄本島の自衛隊は旅団から師団に格上げされ、敵からの攻撃に備えて避難訓練も始まっている。