斉藤鉄夫国土交通大臣は1月の会見で、地域交通の再構築を喫緊の課題とした上で、2023年を地域公共交通再構築元年と位置付け、地域交通法が改正された。また補助金額もコロナ前3、400億円だったものが1280億円と大幅に増額された。

国としても、地方公共交通機関の問題は放置できないという危機感はあるが、DXだとか共生とか言葉ばかりが踊っている感じがしないでもない。僕自身は、地方公共交通機関はライフラインの維持だという認識からスタートしなければ、何も解決しないと感じている。地方の公共交通を担ってきた企業はもはやリスタラの限界を超えている。これ以上の減量経営は不可能である。

そのうえで、少なくとも現状の路線や便数を維持しながら同経営するか問題となる。ヨーロッパやアメリカの公共交通には「受益者負担」の発想にはない。市民サービスの一環として税金で賄うことが常識といっていい。市民の立場から言えば、公共交通の維持は義務であるかもしれない。自分たちのためだけでなく、旅行者に対して深瀬綱サービスを維持できなければ「都市」と言えないのではないだろうか。

だからマイナスイメージの強かったこれまでの「補助金」という概念も一層しなければならない。歳出の項目に公共交通機関維持費とすればいいことである。

高知市の場合、唯一の公共交通機関であるとさでん交通は賃金が安すぎてバスや電車の運転手すら確保できない状況が続いている。先日、高知新聞に掲載された「12%減便」という記事はまさに運転手不足に由来している。もし地方公務員も同じような賃金体系だったら、市民サービスどころではなくなる。市役所の庁舎が新築されても職員がいなかったら、どうなるか。火を見るより明らかであろう。