高知県には市町村併せて2万3000人の公務員が要る。これに教職員8000人、警察官2000人がいる。併せると3万にを優に超える。高知市の通勤手当は最高5万5000円。どう少なく見積もっても月2万円は下らないだろう。年間で24万円である。3万倍すると72億円と見積もる。もちろんJRで通勤する人もいる。だが、一方で、とさでん交通のバス・電車の支出は約40億円。高知県の公務員が全員、とさでん交通を利用すれば、それだけで、年間72億円の収入が生まれる。支出の40億円は補助金もつぎこまれた数字。だから収入は40億円もない。つまり、多くの公務員はマイカーや自転車、バイクを利用していることが分かる。自宅が不便で公共交通機関を利用できない人もいるだろうが、公共交通機関の利用者がものすごく少ないと考えざるを得ない。

一般の企業なら、たとえば、パナソニックの社員の家庭の家電製品は自社製品だろう。トヨタの工場などの施設にはトヨタ車以外は駐車できないから、みんなトヨタ車を保有しているはず。高知県の場合、とさでん交通は高知県と高知市、そして周辺の市町村が全額出資する公営企業。本来ならば、高知県の公務員は率先してバス・電車を利用してしかるべいなのだ。経営改善計画の真っ先に公務員の乗車率を上げることを挙げなければならない。だが、そんな項目は一切ない。

伝聞ではあるが、首都圏の私鉄の社員や家族には無料パスが支給されている。自社の交通機関を利用できない社員以外は、当然のように自社のバス・電車で通勤する。だから通勤手当などというものは一部の社員以外には支給されないはず。高知県の公務員に同じことをやれば、僕が推計した72億円の通勤手当は不要になる。それをとさでん交通につぎ込めば、バス・電車を「無料」で運行することだって夢物語で亡くなる。