来年の市議選にあたっての第一の政策は引き続き水道の民営化に警鐘を鳴らすことである。第二は高知市内の公共交通の均一料金200円化+乗り換え自由制度である。

この数年、高知市の公共交通をどうしたらいいか考えている。高知県はかつて高知県交通と土佐電鉄と二つの民間バス会社があったが、これを統合してとさでん交通を設立した。50%を高知県が持ち、高知市は30%という株主構成である。残りも周辺自治体が保有している。大阪も京都も市営で地下鉄やバスを運営している。東京都も都営地下鉄を都営バスを運行している。多くの都市は市内均一料金である。にもかかわらず高知県は高知市内の一部しか200円均一料金となっている。市内でも700円を超えるバス路線がある。市電は200円の次は310円と110円も高くなる。普通のバスや電車運賃は20円きざみで上がるのに110円も上がるのは意味が分からない。市内のバスでも20円単位で上がるが、400円を超える地域と200円の地域とばらばら。とても距離で運賃を設定しているとは思えないぐらい、ちぐはぐである。世界の主要都市のバス運賃を調べると、ほとんどが市内均一運賃となっている。しかも乗り換え自由という都市が少なくない。

そんな高知市のちぐはぐな運賃体験に対して市民からほとんど苦情らしきものが聞こえてこない。想像するに誰も乗らないから苦情が出ないのだろうと考えている。一年前から電車通勤を始めて痛感するのが、そのことである。「誰も利用しないから」という問題意識である。朝方の通勤時間はそこそこの混雑で市内からの利用でも座れたことがない。だから市電はそこそこ採算が取れている。しかし、バスはそうではない。空気を運んでいる路線が少なくない。市内でも700円を超える路線がたくさんあるのだ。

僕の提案は、少なくとも市内は均一200円とし、乗り換えもその範囲内でできるようにすれば利用者が増えるというものである。本来はワンコインの100円としたいがそれではあまりにもとさでん交通の経営が成り立たない。せめて現行の200円を維持したい。

当然、200円の均一料金でも経営が成り立たないという理屈も出てくる。しかし、妙案がある。少なくとも高知市や高知県の公務員は通勤手当が出ている。市や県のほかに警察、教職員、その他含めると2万人程度の通勤手当は月2万円内外出ている。年にすれば24万円である。これが半分になれば、12万円×2万人=24億円の原資が生まれる。とさでん交通の年間支出はバス・電車に限れば40億円内外である。当然、補助金を含めた話である。24億円の経費が削減できれば、とさでん交通の経営は安泰といえまいか。しかも空気を運んでいた区間に乗客が戻るはず。決して夢物語とはいえない。

僕の市電の3カ月の定期代は1万8000円である。均一200円の区間の通勤であるが、片道100円で利用している勘定になる。しかし祝祭日や通勤しない日を加味すると150円内外の負担となる。2割しか安くなっていない。こんなものは「通勤定期」ではない。そもそも65歳以上の市民に提供されている定期である。二日に利用しないかぎり割に合わない運賃設定なのだ。

パーク・アンド・ライドという「定期」もある。郊外の無料の駐車場を利用できるが、その1カ月定期が1万円。200円均一区間の往復は400円。25日乗らなければ、割が合わないから「誰も利用しない」。当たり前の話だ。経営を先に考えるからそんな理不尽な運賃体系が存在している。どこでも利用者減=運賃値上げを繰り返して、地方の公共交通は衰退してきた。今一度、そこらを考え直す時期にきているといえそうだ。