8日の最大のニュースはエリザベス女王の死だった。1952年に25歳で即位し、70年在位したことはすごいことだった。その直後、皇位継承者のチャールズ皇太子が国王を継承した。そうBBCは報じていた。エリザベス女王は2日前、滞在していたスコットランド・バルモラル城で、保守党の党首に選ばれたトラス氏に組閣を命じたばかりだった。近く国葬が行われるが、どこかの国のように議論が行われるはずもない。

個人的感傷で言えば、71歳の僕が生まれた翌年に即位していることは驚きだった。つまり、物心がついた時、すでに女王であり、その後もずっと女王だったということだ。昭和天皇も在位64年と長かったが、その後、平成、そして現在の令和と3人の天皇を知っている。

知らなかったことがたくさんあった。女王の夫、エジンバラ公は出会ったころフィリッポスと名乗る、ギリシャから亡命した現役のイギリス海軍士官だった。デンマーク王家の血を引くとはいえ、外国人だった。婚約が決まってからイギリスに帰化した。

1980年、バチカン市国を公式訪問、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世と会談した。イギリスの元首にしてイギリス国教会の最高権威がローマ教皇を公式訪問したのは、1534年にヘンリー8世がイギリス国教会を作って以来これが初めてだった。これが1982年5月28日のヨハネ・パウロ2世のイギリス訪問とローマ・カトリックとイギリス国教会との和解への布石となった。

2011年、1911年の祖父ジョージ5世による訪問以来、ちょうど100年ぶりにイギリスの君主としてアイルランド共和国を公式訪問している。1911年当時はイギリスの植民地(グレートブリテン及びアイルランド連合王国の一部)であったため、独立後としては初の訪問である。

また女王の別称号はランカスター公。ランカスター公領を私有財産として持っている。14世紀、エドワード3世の時、創設されたという。同公領はイングランドとウェールズにまたがる18,433haの土地保有(農村地や耕作地を含む)、都市開発、歴史的建造物、一部商業施設で構成されている。王室はランカスター公領のほかコーンウォール公領を持つ。2018年3月31日の年度末会計で、この不動産は約5億3400万ポンド(約790億円)と評価された。公領の純利益はランカスター公爵としてこの地を治める君主に支払われ、その額は年間約2000万ポンド(約29.6億円)に上る。ランカスター公領は課税対象ではないものの、君主は1993年より所得税とキャピタル・ゲイン課税の両方を自発的に支払っている。

ハノーバー王朝
ジョージ一世(ドイツのハノーバー選帝候がイギリス王兼務)
ジョージ二世
ジョージ三世
ジョージ四世
ウイリアム四世
ヴィクトリア(在位64年)

ウインザー王朝(第一次大戦中、ドイツ系を避けるため王朝名変更)
エドワード七世
ジョージ五世
エドワード八世(300日余りで退位)
ジョージ六世(エドワードの弟)
エリザベス二世(在位70年)
チャールズ三世