5月8日日経新聞によると、アメリカのカンザスシティーの小麦市場で小麦価格が高騰、タイ産のコメ価格を上回った。筆者ははりまや橋夜学会で、「そのうち小麦の価格がコメを逆転するかもしれない」と話したことがある。まさかと思ったことが起きてしまったのだ。3月の小麦はトン当たり454ドル。一方のタイ産コメは425ドル。アメリカ産小麦は2020年の200ドル前後だったから、2年で2.5倍になった。その昔、池田勇人首相が「貧乏人は麦を食え」と発言し批判を浴びたが、いまや「貧乏人はコメを食え」の時代に突入するのかもしれない。

もっとも日本国内に限って言えば、様相はかなり違ってくる。まず円安の影響がある。1ドル=110円だった2年前の200ドルは2万2000円。130円に達した4月の安値で計算すると、454ドルは6万円弱。国際相場は3倍近くの跳ね上がっている計算となる。にもかかわらず、国内で小麦価格が3倍にならないのはそもそも政府が輸入して価格を管理しているためである。小麦の内外価格差に配慮している価格設定になっているが、国産小麦で品種によっては5万円内外のものもある。本来ならば、政府が価格統制をする時代は終わっているのかもしれない。