4月22日(金)はりまや橋夜学会
テーマ:ウクライナ侵攻2カ月
時間:午後7時から
場所:WaterBase
講師:伴武澄

21日、ロシアはウクライナのマリウポリを制圧したと発表し、ウクライナ軍がこもる製鉄所の攻撃を中止した。これに対してウクライナは反発し、アメリカも「制圧」に懐疑的な論評をしている。ロシア軍は首都キーフ周辺から撤退し、主力を東部地区に集結している。何度もマリウポリのウクライナ軍に対して降伏を求めたが、ウクライナ側はまだ降伏する兆しがない。それどころかゼレンスキー大統領は徹底抗戦を求めている。しかし、東部戦線の情勢はどう見てもロシア側に分があり、今後、ウクライナ側が失地を回復しそうにない。ウクライナの東部地区がロシア軍に制圧されてしまうと見た方がよさそうである。ロシアとしても首都制圧をあきらめ、当初の侵攻目的だった東部地区の「解放」に重点を置き、攻勢を強めている。

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、圧倒的軍事力の格差からみてウクライナ側に分があるとは思えなかった。だから、筆者は「降伏」も一つの手段だと考えた。降伏してもウクライナはなくなるわけではないが、戦争の長期化によって国土が破壊され、多数の市民が殺される事態が続けば、国家そのものが壊滅してしまう。そう考えた。東部地区はロシアの制圧後、クルミアのように住民投票によってロシアに編入される可能性が高い。

だが仮にそうした事態となれば、ロシアが被る代償は決して小さくないはずだが、そもそも侵攻を決断した時、ロシアは国際社会における「孤立」も考慮に入れたはずである。150年以上も前の話であるが、デンマークはプロシアに肥沃な酪農地域、ホルスタインを奪われた。戦後、デンマーク国民は現在の半島部分であるユトランドを開墾して50年後にはヨーロッパ有数の酪農地帯として復活させた歴史がある。ウクライナは350年にわたり独立運動を繰り返し、1991年、ようやく独立を獲得したばかりだが、東部地区を失っても国民の力を終結すれば国力を回復する力があるはずだ。そんな期待を持ちたい。