日曜と祝日、高知市を通る路面電車や路線バスなどの運賃が無料になる「無料デー」が、3日から始まった。多分全国でも初めての試みだ。来年1月末(年末年始を含む)までの計20日間、高知市が運賃を肩代わりする取り組み。同社の樋口社長が乗車したバスは「通常の5~10倍は乗っていた」というから、効果はテキメンで電車、バスともにぎわったようだ。僕が目撃したいの町を通る電車には通常の3倍ぐらい乗っていた。
 高知市が企画したもので、予算は上限1億2000万円。20日間の平均的乗客数の運賃に相当する金額。財源は国の新型コロナの交付金を充てる。市民は「税金の使い道としてはみんなが納得する」と手放しに喜ぶ。高知市内から安芸市までは1日に10往復が運行されており、片道1時間30分。運賃は片道1240円。家族3人で安芸のグルメ「しらす丼」を食べに行くとして、運賃分7500円が無料となる。お父さんは運転する必要がないからビールの1杯も飲める。5000円前後で家族サービスが楽しめる 高知市は当初、実施期間中の20日間の休日で平常時の約2・5倍に当たる計50万人の利用を想定していたが、市民に浸透すれば予想を超える効果が生まれることは確実。今後の公共交通の在り方を見直す引き金になればいい。

 はりまや橋夜学会では以前、100円公共交通機関の話をしたことがある。とさでん交通の場合、市電は収支がほぼトントンだが、バスは大赤字。ほとんど空気を運んでいる路線も少なくない。今回の無料デ-が成功すれば、運賃が安くなれば利用客が増えることを立証することになる。地方の多くの公共交通機関は利用者減、赤字拡大、運賃値上げの悪循環を繰り返してきた。とさでん交通の場合、株式会社であるが、株式は県や市など自治体が100%保有しており、補助金も出ている。どうせ赤字分を税金で負担するなら初めから値下げして利用者を増やす努力をすべきだと思う。