移設先は「原子力空母」
立命館大学の加地伸行教授が産経新聞に連載している「古典個展」の2011年1月8日の切り抜きーが出てきた。
普天間の移転先として、沖縄沖に空母のような船を浮かべたらどうかと考えたことがある。加地教授はあえて「原子力空母」がいいといっている。ユニークではあるし、現実的でもあるが、「原子力」というところが過激である。アメリカが聞いたら腰を抜かすかもしれない。しかし、日本はかつて原子力船を保有したことがある。「むつ」である。1974年に原子炉から放射能が漏洩し、母港だった大湊港への寄港を拒否され、長年彷徨い、結果的に廃船となった経緯がある。
謹賀新年。
今年は〈卯(ぼう)〉あるいは〈卯(う)〉の年、すなわち兎(と)・ウサギ年である。
ウサギと言えば、まず白ウサギとなるが、実は、白ウサギは珍しかったらしく、中国の文献では、白兎(はくと)はめでたい兆(しるし)としてお上に献上するという記事が実に多い。
一方、狡賢(ずるがしこ)い奴(やつ)というイメージがある。兎(うさぎ)を捕らえようと思っても、3つの隠れ穴を持っていて、すばやく逃れてし まう「狡兎三窟(こうとさんくつ)」。というふうに難(なん)を免(まぬか)れるのが上手という比喩に使われている(『戦国策』斉策四)。
となると、民主党が〈一兵卒〉に対して一時、政治倫理審査会への出席要求をしてもあれこれと逃げられていた様(ざま)と重なるではないか。
おっと、仮に捕らえたとしても、「狡兎死(こうとし)して、良狗烹(りょうくに)らる」(『史記』越世家)という名言がある。狡賢い兵卒を斃(た お)したいい犬(良狗)は、もうご用済みなので、みなで煮て食べるということになる。兵卒の首斬り役は、とんだ道化(どうけ)役になるかも。
というような内輪の争いばかりしていてよいのか。
いま最高の重要課題は、経済でもなければ、社会保障でもなければ、…でもなければ、いかなるものでもない。ただ一つ、わが国の存亡に関わる沖縄の基地問題である。
それは、特に尖閣諸島において発生した、かの〈事件〉と連動していることは言うまでもない。
けれども、鳩山由紀夫前首相が破壊した辺野古移設案を再構築するのは容易ではない。時間もかかるであろう。それならば、沖縄県民が知事選において求めた県外ということへの配慮なくして話は前に進まない。
では、対案はあるのか。ある。それは辺野古への移設ではなくて、原子力空母を建造して、そこを移設先にすることだ。空母は沖縄南沖の公海上に停泊すればいい。そこは〈県外〉であり、かつ〈国外〉ではないか。沖縄県民の今の気持ちに応えるには、それしかない。
問題は建造費である。仮に1隻ににつき1兆円かかるとしよう。まず第一は、日本の定住外国人に対して、理由の如何(いかん)を問わず、1人につき 年間平均30万円の防衛税を徴収せよ。聞けば、スイスは51万円を徴収とのこと。支払わない脱税不良外国人は強制送還せよ。すると、約220万人として約 6600億円。
さらに、政府は日銀とは別に、通貨発行ができるのであるから、それによって年約3400億円。ただし3隻建造分で3年に限定するので、3年間総額は3兆円あまり。インフレにならない。
それどころか、年1兆円を集中的に投入すれば、世界一の技術を有する造船界は活気づき、周辺諸産業に経済効果を及ぼし、新しい形の公共投資となってゆくことだろう。私のような経済ド素人でも描ける今年の初夢ではないか。
そして何よりも、普天間飛行場移設問題を解決できる。日本の原子力空母を遊弋(ゆうよく)させよう、1隻は沖縄の南に、1隻は尖閣諸島付近に、1 隻は日本海に。これがわが国の防衛第一線となれば心強い。中国軍のような驕慢(きょうまん)な行動ではなく、わが国は泰然として備えよう。『論語』子路篇 に曰(いわ)く、「君子は泰(たい)にして驕(おご)らず。小人は驕りて泰ならず」と。(かじ のぶゆき)