賀川が視察した中鶴は伊藤伝右衛門の経営

 賀川豊彦の自伝の第二巻『壁の声聞くとき』の自炊を続けている。筑豊の炭鉱を視察する場面に「佐藤伝次郎」なる人物が登場する。中鶴という炭鉱である。ひょっとしてと調べたら、白蓮を娶る石炭王、伊藤伝右衛門のことだと分かった。
 「……中鶴に来た。炭坑事務所に署長自ら案内してくれた。どう思ったか坑長自ら敬々しく新見に最敬礼をして出迎えた。新見はあまりその態度が馬鹿丁寧なの で、心の中で笑った。××でも迎えた積もりで居るらしい。中鶴は筑紫の女王の主人で銅御殿の大旦那、佐藤伝兵衛さんの持っているものだった。」
 白蓮の親友、村岡花子の夫が賀川豊彦の妻ハルと従兄同士だったことは書いたことがあるし、白蓮が戦後、賀川が主導した世界連邦運動に加わり女性部長として 全国を公演行脚したことも知られていたが、過酷な労働を強いる炭鉱として小説の中で批判している中鶴が伊藤伝右衛門の経営するものだったとは……なんとも その関連に驚くばかりである。

伴武澄 について

新聞記者を定年退職後、高知市へ帰り、旧鏡村でシイタケとクレソンを栽培しながら、はりまや橋商店街で毎週金曜日に露天を商い、その夜に「夜学会」を開催するスーパーおじいさん。
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