誕生日の5月5日、友達の大工の林さんに誘われて、山間の津野町というところで山菜採りや川釣りをして楽しみ、夜は林さんが若いころから行きつけにしている床屋さんの実家で過ごした。家の前には茶畑があり、その向こうに渓流が流れる。
「アメゴなんてなんぼでも釣れる」という当主の言葉に勇んで渓流に臨んだが、成果は4人が3時間挑戦してたったの2匹だった。晩ご飯には足りないと思ったが、同窓会帰りの奥さんが焼きたてのアユを20匹ほど持ち帰ってくれた。
 ここらは標高が600メートルぐらいと聞いた。高いのでまだ山桜の咲いている木もあった。夜はまだ寒く、5月だというのにストーブが焚かれていた。
 津野町は高知のお茶の生産地のひとつとなっていて、みずみずしい茶の木が一番茶の摘み取りを待つ美しい風景が広がる。
 高知県はよっぽどお茶の生産量が多いのかと思っていたが、調べてみると高知県の茶葉の生産は全国第15位だった。だがここらの古老の話では、植林したスギやヒノキを伐採すると真っ先に茶の木が生えるそうだから、もともと自生していたのかもしれない。
 高知県の以前は静岡茶や宇治茶に化けて売られていたが、産地をはっきりしなければならなくなり、県を挙げてブラン ド化を図っている。それにしても未だに50%までは他の産地の茶葉が入っていても産地を名乗れるそうなのだ。産地偽装が年中行事となっている国でまだおかしな制度が続いている。