厚労省は、企業に対して再来年度から希望者全員を65歳まで再雇用するよう義務付ける方針が14日明らかになった。、そもそも政府が企業に「雇用」を義務付けることなどできるのだろうかという疑問があるが、実は公務員の定年延長の前触れではないかと直感している。
 じょうだんじゃない。すでに消費税増税路線を進めているのだから、次に来るは公務員の大規模リストラと給与削減のはずである。年金一元化で公務員共済や私学共済などが一向に一元化しないのは、掛け金や支給額が民間より「有利」であるからでしょう。そうでなければ20年以上前に厚生年金と一緒になっていてもおかしくない。今回の民間の払い過ぎ年金問題についても公務員だけは何も決まっていないのは、手抜きとしかいいようがない。
 労働組合が長年の労使交渉で勝ち取ったもの。雇用するかどうかは、企業の自由意志であるはずだ。企業が勝手に従業員の首を切ることはなかなか難しいが、そんな難しいことでも労使合意を経ることで不可能ではない。企業が存廃の危機に直面したとき、実際に多くの企業でリストラが行われた。こんな法律が通ったら、たとえば円高で工場を閉鎖したくとも何もできないことになる。
 そもそも65歳までの雇用について、すでに企業は(1)定年の廃止(2)定年の延長(3)継続雇用-のいずれかの方法で雇用の維持を求められている。現在は希望しても企業側が必要がないとされた人まで雇用する義務がないが、今回は「希望者全員の雇用を義務付け」ようとしている。
 民間に65歳まで雇用義務が生じた暁には、政府も公務員を65歳まで雇用する義務が生じるという話が出てきてもおかしくない。公務員だって労働者だ。無理のない論理だ。この15年、民間では年収ベースで2-3割に給与ダウンは常識だ。ところが公務員の場合、目だって下がったという話は聞かない。そんな公務員を65歳まで高額給与を支払うことになったら、せっかく社会保障のために引き上げた消費税などあっという間になくなってしまう。
 それよりも、2カ月前、厚労省は年金の支給開始年齢を68歳に引き上げようとしたばかり。政府は税と社会保障の一体改革で消費税を増税する方針だが、増税した上に年金支給を遅らせ、さらに企業には65歳までの雇用を義務付けようとするなど、次早に国民への負担を増やそうとしている。過去の政権で何度も国民負担は増やされたが、一度にこんなに負担増を図ろうとしたことはない。
 野田政権があほなのか。あるいは霞ヶ関が民主党政権をつぶすために策を弄しているか。いずれにしても野田政権は官僚になめられすぎている。
 野田政権が発足して、党内融和のために小沢派にすりより、その後は財務官僚の言うがままの国政運営を続けている。そんなことは百も承知で野田さんも悪くないと思ってきたが、そろそろ堪忍袋の緒が切れそうだ。
 野田さんでも仕方ないと思った理由は自民党政権に戻っても同じことしか起きないからで、せめて民主党政権が一定期間存続して政権交代の礎ができてほしいという願うがゆえであった。ところが、民主党がマニフェストに掲げた子ども手当てを放棄し、高速道路無料化も骨抜きにされた。コンクリートから人へというマニフェストのさきがけとなるべき八ツ場ダムも建設再開の動きが強まっている。民主党マニフェストの全否定では政権を維持できない。維持する意味もない。
定年延長、人事院の国家公務員定年延長案は年収30%減?
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