2週間ほど東京に行っていた。ある晩、息子のアパートの階段を酔って上りながら「何段あるのか」数えてみた。「そういえば今日も階段をたくさん歩いたな」。そんなことを感じながら上ると18段。そう、息子の部屋は3階だからもう一回階段を上らなくてはならない。2階から3階は14段あった。合計で32 段である。忘れないようにしっかりメモをとった。
 翌日、東京の駅の階段を数えてみようと思った。アパートの最寄り駅は西武武蔵野線の是政。通勤のルートは是政-武蔵境-四谷-赤坂見附である。是政は終 点だから改札からそのままホームになっていているから段差はゼロで非常に心地いい。JR中央線での乗り換えの武蔵境駅は現在、工事中でややこしい。高架に ある武蔵野線のホームから階段2つ合計46段下ると乗り換え用の改札が地上にあり、今後は39段上がってようやく中央線のホームに到達する。
 両方のホームは地上ほぼ同じレベルにあるのに段数は7つも違う。一段の高さが違うだけの話だが、「ああ、階段ってどこも高さが違うのだ」と実感させられ た。どうでもいい話だが、JRは段差を16.5センチにするように決められているそうです。それでも中央線の高架の高さは実は普通の家の3階以上の高さに あることが分かった。
 次は四谷駅で降りて営団地下鉄に乗り換えたが、そこは数えるのを忘れた。JR四谷駅は旧お堀の底にある。営団 丸の内線もまたお堀の中。地上からみれば地下にあたるが、赤坂見附方面の乗り換えはJRの改札を出るとすぐにあり、階段の上り下りはない。たぶん30数段 だっただろうと思う。
 丸の内線赤坂駅はホームから改札まで32段。地下鉄としては最も浅いところにホームがあると思っていたが、地上に上がるにはさらに階段を42段上がらなくてはならなかった。
 国際平和協会の事務所は元赤坂にあるので、もより駅から約200段、階段を上り下りした勘定になる。往復すると400段。それでも一般的サラリーマンが毎日上り下りする段数よりも少ないのではないかと考えた。
 ちなみに島根県のJR西日本三江線の宇津井駅は高架橋にあり地上から116段の階段があるとどこかのホームページに書いてある。1駅として一番長い階段 があるそうなのだ。また、1998年にJR京都駅ビル大階段駆け上がり大会というのがあったそうで、選手達は段数・171段を駆け上がるのだが、その高低 差35メートルが11階建てビルに相当するのだ。ただここの大階段は伊勢丹で買い物をするためのもので通勤客が毎日上り下りするところではない。171段 がどれだけの高さに相当するかの目安を示したかっただけのことである。
 そう金比羅さんの地獄の階段が1368段であるのを思い出し、サラリーマンの毎日は大変なことなのだといまさらながら感心させられた。もちろん階段の横には大抵エスカレーターが併設されていて実際に上り下りしているわけではない。(伴 武澄)