今年、中国の「辛亥(しんがい)革命」から100年になるのに合わせ、神戸市垂水区東舞子町の孫文記念館が、革命の指導者である孫文(1866~1925 年)と日本国内でかかわった人たちの人名録作成を進めており、今秋にも出版する。外務省の資料などから、これまでに延べ1700人をリストアップ。重複を 除いても千人以上となる見込みで、同記念館は「孫文と日本人の関係を示す貴重な資料となる」としている。(中部剛)
 孫文は中国の革命家、思想家として知られ、1911年に始まった辛亥革命を主導した。1895~1924年の間、通算約9年日本に滞在し、多くの日本人から支援を受けた。
 神戸にも少なくとも18回訪れており、松方幸次郎や滝川儀作、呉錦堂ら実業家が資金面で活動を支えた。呉錦堂の別荘として建てられた移情閣には孫文も訪れ、現在、孫文記念館となっている。
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 2011年は辛亥革命から100年の節目に当たるため、同記念館はシンポジウム、資料展を企画。人名録作成も 記念事業の一環として、2009年から記念館の研究員らが外務省の資料などを丹念に読み込んでいる。人名録は支援者だけでなく、孫文の洋服を仕立てた職人ら無 名の市民も盛り込むという。
 名前のほか、孫文とどのようにかかわったかなども記述し、50音順で紹介するほか、トピックスごとに分類したり、在日華僑をまとめたりして編集する方針。兵庫県内の資料が最も豊富にあり、掲載される人名数も多くなりそうだ。
 神戸大名誉教授で、同記念館の安井三吉館長(69)は「明治、大正期の日本と中国は西洋列強に圧迫され、共通の感情を抱いていた。いかに多くの日本人が 孫文にかかわり、支援したかを示したい。また、孫文と日本人の絆を振り返ることは、今後の日中関係を考える上でも重要」と話している。