プライベートジェット利用が理解できない日本

 森稔森ビル社長が6月14日付日経新聞のインタビュー「領空侵犯」で「小型ジェット機の利用を増やせ」と提言している。欧米の企業経営者の多くはプライベートジェットで移動しているが、日本の空港にはその受け入れ施設があまりにも貧弱だという話はむかしから聞いている。
 日本的にいえば、お金持ちたちだけが利用する空港整備など必要を認めないことになる。しかし話はそう単純ではない。
 記事によると、プライベートジェットの離発着回数はニューヨークは年間25万回、ロンドン7万回。アジアでは最近発着枠を伸ばしている香港が7000回。対して羽田はわずかに300回、成田700回なのだという。
 そのむかし、フィリップモリスの招待でアメリカの同社の工場を見学させてもらったことがある。驚いたことはたくさんあったが、フィリップモリスがプライベートジェットを30機保有していたことである。食品生産の中心地シカゴと、タバコ生産のリッチモンド、そしてニューヨーク間に”定期便”が飛んでいた。社内の端末からキップの予約ができるだけでなく、エグゼクティブは単独でも全米から海外に向けてそのジェット機を使用することができるのである。
 われわれもシカゴ到着後、アメリカ国内の移動はすべてプライベートジェットになると告げられた。工場見学やインタビューなどが終わると車で空港、といっても一般空港に併設されたプライベートジェット用空港がどこの大都市にも整備されている、に向かう。空港ビルは一切なく、車は目的のジェットのタラップに直接横付けされる。5分後にジェット機は滑走路に走りだしている。到着後もまた同じだ。迎えの車がタラップ横で待っている。極めて効率的に移動ができる仕組みが20年前にすでにアメリカにはあった。
 同社の日本人幹部がこぼしていたことがある。当時、日本はバブルの真っ最中。羽田は国際便の離発着を許していなかったし、成田も離発着枠の余裕がほとんどなかったため、アメリカから幹部を乗せたプライベートジェットが日本にやってくると、羽田で断られ成田で断られ、空きがある名古屋空港に着陸せざるを得ない。名古屋空港に到着してから、東京の日本法人にたどりつくのに4時間ちかくかかる。アメリカの幹部のこの理由がまったく理解できないというのだ。東京に到着した時点でその幹部の憤まんは爆発寸前。日本とのビジネスがうまくいくはずがない。(伴 武澄)

伴武澄 について

新聞記者を定年退職後、高知市へ帰り、旧鏡村でシイタケとクレソンを栽培しながら、はりまや橋商店街で毎週金曜日に露天を商い、その夜に「夜学会」を開催するスーパーおじいさん。
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