17日午後6時すぎ、中川昭一財務相が辞意した。満身創痍である。仮にG7の記者会見で醜態を演じたのが風邪薬のせいだったとしても、しどろもどろになった映像が世界中で放映されたのとは事実。その一点だけで身を引くだけの失態であろう。往生際の悪さばかりが目立つ辞任劇だった。
 後任には与謝野馨経済財政担当相が兼務することになったが、三つも大臣を兼任できるのか、職場で話題になった。私見では「解散が近い」ということではないだろうかと思ってしまう。麻生政権の支持率は10%台。小泉純一郎元首相に突き放され、公明党からも完全に見放された。これ以上の減点ははないだろうと思っていたら、この様である。
 さて日本丸はこれからどうなるのだろうか。2008年10-12月の国内総生産(GDP)は前期比マイナス12・7%(年率換算)と先進国の中でも最悪の数値が発表されたばかり。輸出の壊滅的な減少によって輸出企業はヒトのリストラ策を相次いで発表している。失われた10年からようやく脱却しかかった経済は9・15ショックで再び奈落の底に突き落とされた格好。
 深刻なのは日本が直面しているのが経済危機だけではないことだ。政治への不信感が幾重にも折り重なっている。たとえ民主党が政権をとったとしても、有権者からみれば自民党の自滅にしか映らない。アメリカのオバマ大統領のようにチェンジが訪れるとは思えない。日本の地盤沈下はいよいよ厳しい時代に突入する。(伴 武澄)