ブッシュ大統領が12月14日、イラクでの記者会見で靴を投げ付けられるという珍事があった。二回も投げ付けられたが、ブッシュ大統領はたくみに”攻撃”をかわした。暗殺された大統領は少なくないが、靴を投げ付けられた大統領は前代未聞、これからもめったに見られない光景だろう。映像ニュースを転載したユーチューブは大賑わいである。
 23日の共同通信電は、その靴を製造していたトルコのメーカーに注文が殺到し、従業員を100人も増強したと伝えている。この不況時に従業員を増やしているのはこの靴メーカーだけだろう。
 注文は”事件”の直後、イラクから入り始め、年間で1万5000足しか売れなかったものが、37万足もの注文となっており、この会社は靴の名前を「ブッシュ・シューズ」と改めたそうだ。アメリカからも1万9000足の注文があるというから、これからもっともっと売れるのだろう。
 ブッシュ大統領は不屈(くつ)の精神でイラク戦争の正当性を強調したかったのだろうが、屈(くつ)辱のシーンは全世界に放映された。大統領はこのまま鬱屈(くつ)した気分で政権終(シュー)末を迎えることになる。一幕のシーンをみた世界の人々は「クックッ」と笑いを抑えることができなかったそうだ。
 米国内でもブッシュの威信は落ちており、米国のヒストリー・ニュース・ネットワークが4月1日公表した歴史家109人にするネット投票では98%が「失敗した大統領」と認定し、61%が「史上最悪の大統領」と酷評した。ブッシュ靴事件は直後から、インターネットを駆け巡り、数多くのゲームやビデオ・マッシュアップをも生み出している。後世の人々はブッシュ大統領を「靴」というキーワードで思い出すことになるかもしれない。
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 【カイロ23日共同】イラク人記者が首都バグダッドでブッシュ米大統領に投げ付けた靴のメーカーに注文が殺到し、トルコ西部イスタンブールにある同社は注文に対応するため従業員100人を臨時で雇うことになった。フランス公共ラジオが22日伝えた。
 靴メーカーの担当者によると、「事件」が起きてから22日までに計37万足の注文が舞い込んだ。これまで、投げ付けられた靴のモデルは年間1万5000足しか売れていなかったという。同モデルは「ブッシュ・シューズ」と改名された。
 靴は工場から出荷時の価格が1足27ドル(約2400円)。
 注文は当初イラクからが大半だったが、その後、ほかの中東諸国をはじめ、世界各国から集まるようになった。米国からも1万9000足の注文があった。
 中東のアラブ諸国では、同記者の靴投げを「英雄的な行為」と支持する声が広がっている。