8日の読売新聞と毎日新聞がともに21%、朝日新聞は22%、共同通信は25%。麻生内閣に対する支持率である。そもそも麻生さんに託されたのは「解散総選挙」ではなかったのか。
 福田前首相が9月突然に政権を投げ出した。その是非はもはや問うまい。「解散総選挙に打って出る勇気がないから、麻生さんにお願いしたい」というような意味合いで麻生政権が誕生したのは誰もが覚えている。
 誰もが、首班指名の後の早い時期に解散総選挙が行われるものだと信じていた。想定が狂ったのは、リーマン・ブ ラザーズの倒産だった。AIUが政府管理下となり、アメリカの大手金融機関が相次いで経営危機に陥った。金融危機はさらに実体経済に飛び火し、「100年 に一度の経済危機」へと連鎖反応した。
 麻生首相の心中では日本の経済対策と解散総選挙との間で揺れたに違いない。心が揺れている間にどちらも先延ばしにしてしまった。たぶん「恐かった」のだろう。麻生政権への支持率の急低下の背景には麻生さんの「優柔不断さ」への不満があるはずだ。
 麻生さんの場合、「男前」(美男ということではない)を売りに総理総裁となっただけに、言行不一致の落差が逆に目立ち、国民の落胆につながったのだと考えている。
 経済対策ではタイミングが一番重要であることは麻生さん自身が一番よく知っているはずだ。その経済対策が今国会でできないのなら、ぜめてもう一つの選択 肢である「解散」に踏み切るべきであろう。解散は首相の専権事項であるから、誰に相談することもない。小泉首相は大方の反対を押し切って郵政民営化を問う 解散総選挙に打って出た。その結果、絶大なる支持を得た。
 もはや遅きに失したかもしれない。このまま求心力を失えば、身内から見限られ「政権放棄」を余儀なくされるかもしれない。そんな惨めの終末を迎えようとしているのですか。
 衆院300議席は小泉さんの郵政民営化路線への「賛成票」であり、自民党が再び300議席を確保できるとは誰も考えていない。幸い、小沢さんの民主党だって、支持率が高いわけではない。麻生か小沢かという選択肢の中で多少、優位に立っているにすぎない。
 政治はばくちです。麻生さん、男なら年内解散しかないですよ。(伴 武澄)