自民党は4月から値下げが始まったガソリンの暫定税率について、30日に衆院で再可決する方針を決めた。
 一カ月前、筆者は思った。ガソリン税を再値上げするために自民党が衆院で再可決を強行すれば、世論が騒ぎ出すだろうし、メディアも黙っていない。自民党内でも若手を中心に造反グループが生まれる。そうなれば福田政権は火だるまとなる。
 各種の世論調査では、過半数がガソリンの再値上げに反対の結果が出ているが、いまのところどこからも火の手が上がらない。
 民主党も「再可決」なら首相に対する問責決議案の提出について、意見が分かれているなど腰が定まらない。特に大手メディアでは”混乱回避”的論調が目立つようだ。
 福田首相は、道路特定財源問題に関しては来年度からの一般財源化を目指して与野党で議論すると明言しているが、肝心の税率については”暫定”上乗せ分を維持する方針だし、向こう10年間、59兆円とする道路整備事業費が見直される保証はない。
 ガソリン税の問題はあまりにも多くある。もちろん道路特定財源は大きな問題だが、道路整備計画で将来の予算まで担保してきた制度も「初めに予算ありき」で無駄な公共事業の温床となってきた。
 暫定税率の長期化は税制の基本的部分で非常識が続いてきたのに、これまで国会で争点になったことはなかった。暫定に関連して租税特別措置法で「日切れ法案」扱いとしてきたことも決して小さい問題ではない。
 そもそも、バス・トラック向けの軽油と乗用車向けのガソリンとで税率が大きく違うのも、消費者中心の社会に転換しているはずの今日において許されるべきことではない。
 とりあえず今年度の税収だけは確保してから議論しようというのでは、本格的税議論はできない。燃料税はどうあるべきなのかというところからスタートして、国民に可能な負担を求める議論を始めるべきだと考えるのだが・・・。