執筆者:伴 武澄【萬晩報主宰】

2000年02月15日付萬晩報「外形標準課税から始まる日本の地方自治」への読者の声です。どうやら自民党も石原知事側につき、全国の都道府県の首長たちも外形標準課税に前向きに取り組む風向きとなってきました。

ちなみにこの「外形標準課税」の名称は分かりにくい日本語となっていますが、京都のウナギの寝床のような町屋は江戸時代に商家の「間口」に課税したところから発生したといわれています。フランスでは窓の数で課税された時期がありました。「外形」というのは読んで字のごとくですね。

萬晩報としては、将来は大手銀行だけでなく、一定規模以上の売り上げの中小企業にも適用されていくべきものだと考えています。

【まったく同感です】「甘えの構造」を断ち切る石原知事の今回の外形標準課税宣言に拍手喝采を送りたい気持ちです。官僚主義、馴れ合い政治への痛快な「一撃」とも言って良いでしょう。日本を良くしたい、でも政治不在に愁う日頃の鬱憤を晴らしてくれました。(Ken

Hakamata)

【沖縄の自由経済区への言及は炯眼】米軍基地の固定化の見返りに多額の税金をつぎ込むより、基地を縮小・撤去して自由経済区にした方が、日本だけでなく、アジアの経済にもプラスだったのではないか。マスコミは知らん顔だが、こうした採りあげ方は、沖縄のだけでなく、地方の自立のためにも、有意義な視点であると強く感じる。この文がきっかけとなって、広い視野での国と自治体のあり方に論が深まることを期待したい。 (山縣)

【がんばれ石原慎太郎】銀行が、使った税金が、数十兆円。東京都の取る税が千億円。当たり前過ぎて、こんなことで、騒ぐ連中にはらがたつ。もらえるものはいくらでも、出すのは1円でもいや。そんな連中が、たくさんいるんだ。(swan)

【石原氏も萬晩報を読んでいるかな】外形標準課税に関するタイムリーな分析楽しく読ませていただきました。石原さんは、本当に国士ですね。こんな人物が国を変えると思います。地方から国を変える。東京は地方でないけれど、官僚や政治家に任せていたら国はなかなか変わらないと思います。
政治家は、地方のことしか考えないから、国は官僚に仕切られ国の戦略が時代に対応できなくなっていると思います。週末になったら地元に帰る政治家なんていらないと思います。政治家は週末になったら国やグローバルな活動を通じ、21世紀の戦略を明確にすべきだと思います。
石原氏も萬晩報を読んでおられるのでしょか。石原さんに呼ばれ都庁の危機管理を担当されている方は、ハワイの会議で同席させてもらった人です。石原さんは人物を見きわめる力を持った人だと思います。(Tamotsu

Nakano)

【税理論にやや混乱】 <そもそも法人税は企業に利益があることが前提で課税されるもので、その対価として行政サービスを受けている。そうだとしたら何年にもわたってサービスの「ただ乗り」というわけにもいくまい。銀行が不良債権を抱えているといったところで、行政側だって職員の給料ぐらいは支払わなければならない>という部分で、国税と地方税の税理論にやや混乱があるように感じられます。
国税の法人税は「収益税」であり、法人所得に応じて課税されます。払う能力のある強い者が払う、という累進課税の考え方で、国税の個人所得税と同じ趣旨です。納税は広い意味で「行政サービスの対価」ですが、国税の場合、負担と受益の関係が必ずしも判然としないため「応益税」という考え方ではありません。
これに対し、地方税の法人事業税は「応益税」であり、その地域の行政サービスの受益の見返りに課税されます。所得の多い少ないに余り関係なく、受益者が等しく払うべきものです。だから、事業税には外形標準課税が認められているわけです。国税の法人所得税と異なり、もともと事業税は「利益を前提に課税」するものではありません。
住民税も基本的に「応益税」のため、所得に関係なく「均等割」を取り、「所得割」部分も国税の個人所得税よりは累進が緩くなっています。控除も少な目で、課税最低限が低くなっています。しかし、日本は収入の多い人から税金を取るのがすきなので、住民税の累進度も相当なものですが。
今回の騒動は、事業税が本来の形に戻ったわけですが、問題は大銀行だけを対象にする点。石原知事らしい、民衆の受けをうまく突いた課税で一点突破した、とも言えますが、公平という点で問題が指摘されるのは致し方ないでしょう。今後、外形標準課税を事業税全般に広げる布石とできるか、が今回の課税の成否を握ると考えます。(大辻)

【村に都銀も】初めまして。最近御誌を愛読するようになった山内と申します。本記事について、新聞等で皆様が余りおっしゃらないこととして、「この税金がいやなら、東京以外に出ていけばいいんだよ」という点があると思っております。
東京に本社(?)を置く価値があると思うなら、それだけの税金を払えばよいし、たとえばバーチャル企業やSOHOで東京の価値がないならば、東京を出て行けばいい訳です。東京は自治体がサービスを提供するのにコストが高い(土地も物価も高い)でしょうから、高い税金もあたりまえ、といった考え方があってもいいと思います。一方で、東京都としてはあまり税額を高くすると企業が逃げていってしまうので、上限を押さえる効果があるでしょう。
こういった形で、東京集中を再検討するのもおもしろいのではないでしょうか?ただ、資金量の多い銀行だけ、という区分がどれだけ理由付けできるのかは、よくわかりませんが。(Nagatsugu

Yamanouchi)

【課税は自治体によって異なるべきだ】きっとお書きになると思っておりました。私は、こんなことを考えて友人にメールしました。メールしたときは、その概要を知りませんでした。現行の地方税の延長として考えている想定していたので、齟齬がありますが見てみていただけるとありがたいです。
私は、課税は「自治体によって異なるべきだと」とおもうのですが、全国の知事はみんな一緒に金太郎飴が好きなようです。地方税は国税と違って、各自治体が独自に定めることができます。とはいうものの、現行は「国に習え」の金太郎飴の状態で、どこの地方税も余り代り映えするものではありません。
今回東京都の石原慎太郎知事の騒いでいる方式は、地方税としての問題で、おそらく東京都に本店がある銀行が対象になります。
国税の場合に、その課税から逃れるためには海外に本店を移すしかありません。地方税に差があるのであれば、地方に本店を移す方法もでてくる訳です。
地方の自治体が、呼応して都銀に対する課税はしないと宣言するれば、地方税の「総取り」はできませんが、都銀の本店を誘致することができるでしょう。体面を重視する都銀は名義だけ本店を移転することはないでしょう。きっと給料をたくさんもらっている銀行員もその村に呼込むことができます。個人の住民税は増えますね。
東京都の石原慎太郎知事の都銀への課税額が大きければ大きいほど、本店を地方に移すメリットが大きくなります。首都圏集中が問題だから、災害に強い首都を新たに作る(官僚は安全なところに引越す)という議論がありました。税法の使い方によって、首都圏集中を排除する例にもなるといいのですが。
ちなみに、村上龍の「あの金で何が買えたか」によりますと銀行に投入された公的資金は国民一人あたり87,000円(1億人で割っています)です。4人家族だと348,000円です。税の公正も重要ですが、その使い方はもっと重要です。あまり議論されていませんが、今回の外形標準化税は、国税と違って「都銀は本店所在地を選択することにより、納税をしない権利がある」ことがオモシロイ点です。(Hiroshi

Yoshida)

【よくぞ言ってくれました】初めてメールいたします。地方自治体に勤務する一地方公務員です。石原都知事の外形標準課税適用の方針について、マスコミや政府が論じる「なぜ銀行だけ」という問題で<ほかの自治体との均衡」などといった問題は枝葉末節である。まして「貸し渋りにつながる」との識者の指摘は完全に的外れである。そもそも課税といったところで貸し渋りにつながるような金額ではない>とのこと、まさしくその通りであります。マスコミの中でも、こうした認識と判断力のある方がいることに、敬意を表します。
本当に、課税額も一銀行当たりにしたら大したことないし、なにより、公的資金という名の「税金」を投入されながら、やめていった頭取の責任を問えず、膨大な退職金を払っておきながら、「なぜ銀行だけ」とか良く言えるものです。都議会のほぼ全会派が賛成に回ったのは、世論の支持も高いことを敏感に察知したことでしょう。これからも、地方自治に繋がる内容を期待しております。
ついでながら、私が勤務するのは、北海道中央部に近い、工業と港湾の都市「苫小牧市」です。宇宙船「ミール」の世界に1台しかないという予備機をひと冬、風雪と凍結の環境下に、防水シートを掛けて野ざらしにしていたまちです。昨年の11月から上屋が完成して公開していますが。(正一)