大分合同新聞1992年12月9日

(後に、業界筋から耳にしたところによると、自民党税制調査会を開催中に、共同通信の速報が配られ、議員たちが絶句し、たばこ増税は取りやめとなったという。大蔵省が提出した税制改革法案が党税調で否決された稀なケースだったらしい。)

 関係筋は8日、フィリップ・モリスなど外国たばこ各社が今回の税制改正でたばこ税が増税となった場合、シェア(占有率)拡大のため増税分を全額価格に転嫁せず販売価格の据え置きや値上げ率の縮小などの措置を取る可能性が強いことを明らかにした。
 これに対し日本たばこ産業は禁煙者の増加に伴い販売数量が伸び悩んでいるため、業績などへの配慮から「増税分を価格に転嫁せざるを得ない」としており、外国たばこ各社が価格据え置きといった措置を取れば、たばこ市場の販売競争は一段と激化することになリそうだ。
 政府は来年度の歳入不足への対応策の一つとして、たばこ税の引き上げを検討中。たばこ一本当たり1円の増税が有力で、その場合、約3000億円の増収が見込まれる。増税をそのまま価格に転嫁すれば現在1箱220円のマイルドセブンは20円上がって240円」となる。
 外国勢の中でシェア第二位のフィリップ・モリスは税制改正後、増税となった場合でも「据え置きも選択肢の一つ」として前向きに検討しているという。
 同社が販売しているラークなど主要銘柄の価格は現在220-250円。価格を据え置くと品目によっでは国産との価格が逆転し、競争力が高まることが予想される。RJレイノルズ社も「他社の動向を見ながら決める」と追随の姿勢を示す。
 前回86年の増税の際は、日本たばこは1本1円の値上げを実施したが、外国たばこ各社は円高を追い風に価格を据え置き翌年は大幅値下げを実施した。この結果、87年度の販売数量は国産が対前年度6.3%減となる一方、輸入品は約2.5倍に急増。輸入品シェアは3.9%から9.8%にまで拡大した。92年度上半期のシェアは17.0%にも達している。