税制改革の約束はどこに
 消費税を導入した税制改革の建前のひとつは『所得、資産、消費』のバランスある課税だった。所得税への偏重を是正するのが約束だったはずだった。消費税を導入する一方、所得税は課税区分を簡素化して所得にかかる負担を段階的に減らしていくという合意があったはずだ。
 確かに初年度の1989年度は所得税の税収に占める割合は37.4%と大きく減少した。特にサラリーマンの源泉所得は26.8%まで下がった。
 しかし翌90年度からまたその割合が増え出し、92年度予算では所得税41.7%、源泉所得税32.5%まで上昇、税制改革以前の水準にまで戻っている。これでは約束違反といわれても仕方がない。構成比で見ると、法人税の構成比は89年度33.2%から92年度予算の27.7%まで段階的に下がっている。
 何のことはない。サラリーマンにとっての税制改革は消費段階での負担が増えただけでなく、源泉所得税の負担も増えてしまっている。逆に企業は法人税負担減のメリットを十分に享受した。生活大国を標榜しながら実際の税金面では企業優遇だけが進んでいることに気付く人は少ない。