NATO対ロシア戦 夜学会245
6月24日の今日、ウクライナ戦争は4カ月目を迎えた。ロシアは特別軍事作戦と呼び、戦争とは定義していない。当初はロシアによるウクライナ侵攻とされ、ロシアによる横暴に対して世界中からウクライナ頑張れの声が沸き起こったが、今やNATO対ロシア戦になってしまったといっても過言ではない。NATO内は決して一枚岩ではないが、アメリカが巨額の軍事支援を行い、NATO諸国が全面支援をしている。特に隣国のポーランドやリトアニアが強硬である。リトアニアはロシアの飛び地であるカリーニングラードへの鉄道輸送を遮断するという実力行使に出た。NATO諸国の強い後押しがなければ、弱小国であるリトアニアが強硬策に出られるはずもない。
ウクライナ戦争はすでに長期化の様相を示している。NATOの軍事支援がなければ、いくら「頑強」といわれるウクライナ軍でも持ちこたえることは不可能だったはずである。
今のところ、ロシアの攻撃はウクライナに限定しているが、リトアニアのような対ロシア実力行使が拡大すれば、ロシアは黙っていないだろう。戦線が万が一、NATO諸国に拡大することになれば、それこそ第3次世界大戦となる。一部のメディアではすでにそのように報道しているところもある。
カリーニングラードはもとドイツのケーニヒスブルグ。プロシア王国の発祥地でもある。ポツダム宣言によってロシア領に編入された経緯がある。 ロシア海軍の拠点で、人口およそ百万人。琥珀の産地として知られる。海軍基地があったことから同地への出入りは厳しく制限されていた。ソ連崩壊後、ロシアの重荷となり、ポーランドへの割譲もうわされたが、実現しなかった。西側に近いという地理的優位性から2000年代に入って驚異的に経済が発展した。しかし工業製品の「輸出」はほとんどがロシア向け、原材料もロシアから「輸入」されてきたため、リトアニアを通過する鉄道輸送は生命線。リトアニアが鉄道輸送を禁止したのは石炭や金属類、先端技術などが対象とされるが、エストニアの措置にロシアは過敏となっており、「報復措置」をほのめかしている。バルト三国とポーランドとを陸路で結ぶスヴァウキ回廊が閉鎖される可能性もある。スヴァウキ回廊が閉鎖されると、今度はバルト三国が孤立化し、バルト三国の安全保障が危うくなる。