岸田文雄内閣が今日、成立した。閣僚は前日ほぼ決定した。「初」の入閣が目立つ。しかも高齢者ばかりだ。どうせ総選挙まで1カ月しか任期がないのだから、この際、閣僚待機組を閣僚に任命したとしか考えられない。そもそも第3次安倍晋三といわれるくらい安倍、麻生に配慮した人員配置であるとされている。コロナ対策を担ってきた、厚生労働相、経済再生相、ワクチン担当相もすべて入れ替えた。1カ月で何ができるのだろうか。

 総選挙後の第2次岸田内閣でほぼ同じ陣容で内閣を組閣するのなら「感服」するが、あまりに安易な人員配置であるとしかいいようがない。たぶんそうはならない。

 岸田首相は14日に衆院解散をする方針を打ち出しているが、任期を2週間残して「解散」の意味はまったくない。しかも解散の理由さえ分からない。自らの政策に対して信を問うということもない。理念なき「解散」が行われることになる。任期満了による衆院選とどこがかわるのだろうか。

 宝田時雄氏によると、元の宰相、耶律楚材は「一利を興すは、一害を除くにしかず」と説く。つまり、新たなことを興す前に、一害を除けば、利が生じたと同じことだといっている。害は利を相殺するということだ。

 岸田首相は一害を除かずに「二害を加えた」ことになる。安倍晋三元首相の側近、甘利さんと羽生田さんである。

しかも甘利さんは2016年1月、特命担当大臣時代に、都市再生機構(UR都市機構)をめぐる口利き疑惑を受けている人物。週刊文春が千葉県の「薩摩興業」から口利きに対する見返りとして1200万円を提供されたと報道したことに端を発する。この疑惑報道を受けて引責辞任したが、その後、この疑惑事件はうやむやのままなのだ。