UR赤字でも子会社に剰余金519億円
UR、本体赤字も関連10法人の剰余金519億円
東京新聞の一面トップの記事である。「本体赤字で子会社大幅黒字」。どこかでみた構図だ。日本道路公団がそうだった。郵政事業は国営時代、黒字になったり赤字になったりだったが、子会社群に黒字が溜まる構造だった。国営でやっても、独立法人となっても体質は同じ。官僚が独立法人に天下り、独立法人がさらに子会社に天下る。たっぷり溜まった資金は、パーティー券などの原資にもなったはず。飲み食いやタクシー代の原資として官僚に還流しているはず。
国家予算が破綻しても自らの懐のことしか考えない役人が多すぎる。三つも四つも団体を天下り続け、そのつど退職金をもらうことが国家財政を圧迫していることに鈍感なのだ。鈍感というより、そういうセンサーをほとんど持ち得ていない。そんな官僚を頂くのが日本という国家なのだ。
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UR、本体赤字も関連10法人の剰余金519億円 2009年11月16日
市街地整備や住宅供給事業を行う独立行政法人「都市再生機構」(UR、横浜市)の関連10法人の利益剰余金が昨年度、総額519億円に達していたことが明らかになった。10法人にはURから再就職した”天下り”の役員らが304人に上っていた。約4千億円の赤字を抱えるURとは対照的に関連会社がURから独占的に事業を請け負い、多額の利益を上げている実態が浮かび上がった。
会計検査院の調べによると、剰余金の最高額は、UR住宅の駐車場管理や改修などを行う「日本総合住生活」(JS)の210億円。同社は今年6月、批判の高まりを受け、124億円をURに寄付した。同社の社長は建設省(現国土交通省)OBで、UR前身の旧都市基盤整備公団副総裁を経て2003年に2度目の天下り。昨年度、同社には役員10人を含め、UR出身者が32人在籍した。
次いで剰余金が多かったのは、URの市街地開発の関連事業を行う「新都市ライフ」の128億円。社長は元国交省審議官で、旧公団理事を経て04年に社長に就任した。
再就職が多かったのは、UR業務の一部を代行する「URリンケージ」(剰余金37億円)と、UR住宅の管理を行う財団法人「住宅管理協会」(内部留保15億円)で、いずれも68人。両法人ともURからの売上高が総売上高の9割以上を占めた。URから10法人に役員として再就職したのは64人。10法人のURからの売上高計1426億円のうち、38%の536億円は随意契約によるものだった。
URは企業の累積赤字に当たる繰越欠損が3930億円で有利子負債は13兆7千億円。毎年、国と地方自治体から補助金を受けており、昨年度は1093億円。このほか国は1兆円近くを出資している。
政府は07年末に策定した独立行政法人整理合理化計画の中で、URに関連法人の剰余金や随意契約の見直しを求めている。URは政府の行政刷新会議の事業仕分けの対象になっている。
◆国の方針に従い競争
<都市再生機構の話> 日本総合住生活は同業他社と比べて自己資本水準が高かったので、剰余金の寄付を求めた。他の会社の剰余金は必要の範囲内。機構OBの再就職は機構で培った技術が生かせる点で再就職者にとって好ましい。国の方針に基づき、関連会社との取引は随意契約から競争性を有するように努めている。
◆寄付の要請あった
<日本総合住生活の話> 2008年の政府の行政支出総点検会議などで剰余金が取り上げられ、機構から当社に寄付の要請があった。
(中日新聞・東京新聞)