太陽光の発電コストが原子力に近づく理由
日経新聞の12月6日一面トップ記事によると、「政府のエネルギー・環境会議が電源別の発電コストを試算する「コスト検証報告」の原案が5日、明らかになった。原子力は事故費用などを加味し、1キロワット時あたり最低でも8.9円と2004年の試算に比べ約5割高くなったが、なお液化天然ガス(LNG)並み。太陽光は30年までにほぼ半減するものの、割高な状況は変わらない。新試算を踏まえ、政府は最適な電源の組み合わせを示す「ベストミックス」を柱とする新たなエネルギー基本計画を来夏までにまとめる。」
日経新聞が掲載したエネルギー環境会議の試算の問題は「送電コスト」が含まれていないことである。以前、東電の広報部の人に聞いた話では、福島県から首都圏に送電するコストは発電コストに匹敵するし、仮に下北半島から送電するとなるとその何倍ものコストがかかるということであった。遠隔地に発電所を置く原発と基本的に屋根のおく太陽光とでは発電コストのみを比較しても意味がないということである。
表のように太陽光の発電コストがキロワット時あたり30.6-16.4円であるとすると。これは屋根の上にあるから送電コストはゼロ。原子力の場合、同8.9円はで送電コストを加えると太陽光とおまり変わらない水準となる。本来のニュースの価値はここらにあるのではないかと考える。
また、エネルギー環境会議の試算には営業経費や点検費用は含まれていない。個人が太陽光を屋根の上に設置する場合には、営業費など間接コストが一切かからないということも加味すれば、太陽光発電は将来、原発より相当安いエネルギー源になりうることを示している。そうはいえないだろうか。