我が部落は、16軒の家があり、高知新聞を購読して居る人は10軒だ。そして問題が発生した。それは我が部落内だけの配達をしていた伯母ちゃんが、数週間前に、脳梗塞となり、入院した。

 仕方なく、その亭主が、ピンチヒッターで、配っていたが、仕事もあるし、配達所の車で新聞を持って来る時間が遅くなる場合もあり、そうなると亭主は仕事もあるから、配達は夕方になる。

それでは新聞でなく、旧聞になるからと、その隣のお婆さんもピンチヒッターとなり、配達所からの持ち込みが遅い場合は配達していた。
 我が浦ノ内半島には10程の部落があり、配達所の一人で、各家への配達は、無理らしく、各部落で、部落内だけの配達を頼んでいる。

 だけど、そんな最終配達人が居ない部落は、その部落の集会所に購読枚数の新聞を置いて、各自が集会所に取りに行く部落もある。

 配達所の人は、我が部落の10軒を個々に配ると、他の配達が出来ないと言う。さて、我が部落では、どうするか。

 其処で、私が提案した。我が部落の集会所は、部落の端にあり、不便なので、部落の中心部にあるゴミ置き場に、屋根付の箱を作り、中の各段に氏名を入れ、その網小屋にくっ付けると良い。

一番遠い私でも、歩いて片道7~8分だし、私の場合は朝の犬散歩があるから、その時に持って帰れば良い。 私も暇だし、木工が趣味だから、雨に濡れない屋根付の箱を1万円で作ると提案し、製作に掛かった。

そ して、ベニヤで作ったが、ドアは檜で、作った。屋根もトタンの残で、作った。これで、何とか新聞を各自が読めるようになったが、問題は、自分が取りに行く 場合のコストである。隣部落も同じように集会所に購読枚数を置いて、それぞれが取るらしいが、毎年部落の神社にお酒が来るそうだ。

 この点で、色々な意見もあるだろうし、私の意見を詳しく書いて、高知新聞の社長に送る事にした。

 高知新聞社長殿
 突然のお手紙で、失礼します。 実は我が部落の新聞を配達していた伯母ちゃんが、突然の病気で入院をし、仕方なくそのご主人が配っておりましたが、それも無理で、新聞箱を私が作り、9月1日からは、其処に各自が取りに行くようにしました。 
 実は、私は木工が趣味ですので、作るのは良いのですが、この作業をしていて、気が付いた事があります。即ち、配達コストの件です。各自が取りに行く場合は、配達していた人件費を読者に払い戻しても、新聞社のコストは変わりません。
 しかも、今は、インターネットの普及と、人口減少で、新聞購読者が減っている状態ですから、これを機会に、このような配達制度が受け入れられる所には、積極的に購読料をサービスして、発行部数を維持する方法を模索するべきではないでしょうか。
 配達のコスト差だけのサービスなら、新聞社の損では無く、これからの維持が難しい各戸配達制度を、変形してでも、少しでも長く維持できる可能性はあります。
 高知市内でも、20~30軒単位で、読者が取りに行くこのような箱を設置し、購読料が少し安くなるようにして、その方向に誘導するのも、面白いのでは無いでしょうか。
 このまま座して、零細業の配達店に丸投げするだけでなく、また将来の新聞社が小さくなるのを見過ごすよりは、配達制度改革に、新聞社が主体となって、向かって行くべきではないでしょうか。
 新聞は発行部数が大きな決め手である広告料が一番の収入であり、購読料の殆どが、配達経費だろうと推定しますから、ピンチをチャンスに変革出来るかも知れません。
 実は隣の福良部落も配達員が居らず、公民館に発行部数を置いて、各自が取りに行くのです。そして、お酒を年に一度貰っているようですが、シッカリとした購読料で差を付ける方が、良いと思います。お酒は飲まない家庭が結構多いからです。
 まあ、色々な経験を経て、理想の配達制度が出来ると思いますが、もし、その実験をされるなら、7~8箱位なら、私も木工が趣味ですので、貴社の色々な要望に応じて、各種の箱を作ってみようかと思いますが、如何でしょうか。
 この我が部落のモノは1万円で、全ての作業をしました。テストする価値はあるような気もします。最終的には、全国の集配にも利用されるようになると、防水の安いプラステックの箱が出来ると思います。
又は、既に他府県で実験し、失敗をしたのかも知れませんね。         9月3日 

 そして、結果的には、返事は有りませんでした。やはりサラリーマン社長ですから、自分が社長の内は、波風が立たない事で終わりたいのでしょう。

 そこで、浦ノ内の集配所に、部落内配達費を購読者にバックするよう交渉に入りました。この結果は多分11月号で、お知らせ出来るでしょう。