何もしない日銀に市場が”円安恫喝”
日銀は31日、政策決定会合を開いて、0.5%で金利を据え置くことを決めた。即座に市場が反応し、円相場は1ドル=150円台に下落した。市場は日銀が何もしないことに対して円の価値を引き下げたことになる。円安が国内物価の引き上げにつながるのは分かり切ったこと。植田総裁は金利据え置きの理由として「賃金と物価が相互に影響するメカニズムが途切れずに続くか確認したい」と説明した。ここ数年、物価上昇が国内政策の一番の課題で、参院選の最大の争点ともなった。賃金の大幅な上昇が物価上昇に追い付かず、国民の購買力が低下している。購買力の低下はGDPのマイナス要因である。本来ならば、為替を円安誘導して少しでも物価上昇を抑えるのが現在の日銀の仕事であるはずなのに、日銀はずっと手をこまねいている。
金利に対する僕の持論は「3%以下はそもそも金利と呼ばない」というもの。ここ10年以上、日銀が目標とした2%の物価上昇は既に達成どころかオーバーシュートしているのが実態経済ではないのか。もはや2010年代のように物価が2%に達しないという状況ではない。現在、日銀が目標とすべきは「金利3%」という数値目標ではないかと考えている。日銀が独立性をを保つということは財務省と対立しても自らの政策を貫くということであろう。
日銀が抱えている課題は利上げだけではない。国債の買い入れは毎月6兆円規模から減額方針に転換したものの、いまだに4兆円ペースと高水準。政府が発行する国債はそのまま日銀が買い入れるわけではないが、発行総額の半分を日銀が保有する事態は尋常ではない。このまま、金利引き上げができないようだと、国債の国内消化にも支障をきたす日がやってくるはずだ。
