昨夜、飲み屋で熊本から来た和田さんという人と出会った。
「いま、熊本は台湾の半導体メーカー、TSMCの進出で全国垂涎の的じゃないですか」
「いやいや、道路が渋滞ばかりして困っています。水も問題なのです。熊本は阿蘇山を水源とした地下水の町です。人口80万人の都市で河川を水源としていない都市はたぶん世界で熊本だけでしょう。その水が枯渇したら元も子もありません。熊本は火の国として知られていますが、実は水の国なのですよ。僕が住んでいる阿蘇市の豊肥温泉では簡易水道なのですが、水道料金は蛇口一つが年間100円。ほぼただなのです」
「半導体産業は大量な水を使うんですよね。TSMCが熊本に進出した最大の理由は水にあったんですね」」
「だから心配しているのです」
「でも、町は活気あふれているでしょう」
「台湾から技術者が400人移住しています。それからソニーから500人。地元採用が1000人います。その地元採用の初任給がなんと30万円で募集をかけました。熊本県や地元銀行もつられて初任給を26万円に引き上げました。人が足りないのです。今まで土地と建物が3000万円で建てられたのが、5000万円に吊り上がっています。バブルです。TSMCの第一工場は高台のイモ畑に建設されました。第二工場はキャベツ畑でした。元は中国からの研修生が働いていたところです」
「中国人の雇用が台湾企業によって奪われたという珍現象ですね」
「熊本には大きな川はありません。阿蘇山に降った雨はほとんどが地層に浸み込みます。土壌がそんな性質なので、川になって流れません。阿蘇市では三尺掘ったら水がでます。そして、ほとんどが地下水となって熊本市の方に流れます」

その後、水の問題でいろいろ教えてもらったが、後は覚えていない。