夏ごろからオーガニック給食に関わってきて、ひょっとして世界の給食は日本から生まれたのではないかと考えるようになったが、実はそうではなかった。ヨーローパなどは100年以上の歴史があることが分かった。20世紀初頭から、ヨーロッパ諸国は植民地の拡大を始め、ついに第一次大戦に到る。その過程で兵員を増強する必要性が生じた。志願兵の身体検査で不合格者があまりに多いことに気付き、貧困層の子どもの栄養失調が原因だったことが分かり、各国は相次いで給食制度を導入したのだそうだ。イギリスでは1899年からのボーア戦争が引き金。ドイツは貧困児童への給食が一部の都市で始まっていたが、イギリスと同じ時期に兵役検査で不合格者が多いということで児童衛生局が給食を行うことを決断する。フランスでは就学奨励のため1849年からパリで学校給食が始まり、1898年には63%に子どもたちに無償で給食を食べさせた。アメリカは1904年、ニューヨーク市で実施した調査で多数の栄養失調者がいることが分かり、給食の実施を決断し、フィラデルフィアやボストンなどの都市に広がった。本格的になったのは1930年時代の不況期に余剰農作物対策の一環として学校給食が組み込まれた。オランダは1900年に義務教育制度の実施と同時に食物と衣服の無償給付を始めた。アムステルダムでは夏冬休み中も給食を続けた。スウェーデンでは1900年ごろ地方から休職制度が始まり、都市部にも広がり、30年代には全都市に及び、無償提供の原則が生まれた。

 日本では19世紀初頭に会津藩の日新館で昼食を提供したという記録がある。幕末には松下村塾で塾生に食事を出した記録がある。明治以降は、山形県の当時、鶴岡町も忠愛小学校で給食が始まった。1919年、東京府の小学校でパンによる給食が本格的に始まり、ミルクの給食も加わった。関東大震災の翌年からは東京市で直轄小学校で無償給食始めた。戦後は1946年12月、永田町国民学校で、ララ物資を用いた学校給食が始まった。脱脂粉乳とパンの組み合わせはこのころから始まった。