政府は「異次元の少子化対策」を掲げ2024年度から3年間かけ「こども・子育て支援加速化プラン」を集中的に取り組むと発表した。児童手当、出産費用、奨学金、医療費、住宅など広範囲にわたる子育て対策を大幅に拡充する。費用は3兆円を超える見込みだが、増税には消極的で、財源を健康保険に求めようとしている。

今日あった市議に対する高知市長の6月補正予算の説明会でも話題に上った。松島副市長は「北欧などは所得税が高くそもそも国民負担が高い」と政府を擁護する発言をしたが、私が「日本だって社会保障費を含めた国民負担は47%を超えている。五公五民に近づいていて、江戸時代だったら一揆寸前だ」と言ったら、黙ってしまった。

児童手当は、現在、中学卒業まで1万円支給している。まず所得制限を撤廃し、支給年齢を高校卒業まで広げる。さらに第3子以降1万5000円支給されている手当は3万円に倍増し、支給対象も「3歳~小学生」から「0歳~高校生」に広げる。

出産費用は、いったん支払った費用を健康保険から七割払い戻してもらう現行制度を、健康保険適用とすることで出産時の手間を省くだけでなく、出産・子育て応援交付金:10万円、出産育児一時金:50万円はすでに今年4月から始まっている。一方で、育児給付金については現在、最大で休業前の賃金の67%(手取りで8割程度)が給付されるものを8割程度(手取り10割相当)に引き上げる方針が検討されている。

費用については、①社会保障の歳出削減②社会保険料に上乗せする「支援金制度」③既定予算の活用などによってそれぞれ1兆円ずつ捻出する案を検討している。しかし、社会保険料に上乗せについては、事実上の増税に等しい。サラリーマンの社会保険料の半額を出している企業側からの反発は強い。また、社会保障の削減では、介護費用の二割負担など高齢者への負担増が盛り込まれそうな勢い。

岸田首相が「異次元」を口にし始めたのは、防衛費倍増を決めた昨年末以降、どう考えても、防衛費倍増への国民的反発を和らげようとしているようにしか見えない。