西敷地問題はオーテピア西側の2500平米の市有地の開発から西敷地問題は始まった。高知市が描いたイメージ図からみると、まず建物在りきだった。建物は低層階と高層階に分けられ、広場はたった500平米しかない。そこに①広場機能②家族機能③観光客機能④収益施設(任意)⑤イベントや企画に加えて、⑥商店街への配慮⑦地域の顔としての景観-の8つの機能が求められている。

このうち、①広場②家族⑥商店街への配慮⑦地域の顔としての景観の4項目が「必須機能」つまり、マストの機能である。ここにすでに矛盾が生じている。第一に掲げた「広場」は「500平米の屋外広場と50平米以上の緑地」と規定してあるが、500平米は広い一軒家程度の敷地でしかない。まして50平米の緑地などは小さなマンションの一室ぐらいの広さしかない。第一の機能として掲げるにしてはあまりに貧弱な発想であろう。

次いで②の家族機能を有する施設はすなわち、敷地根面積の大部分を占める「建物」である。説明によれば「仕事体験などのイベントを企画する拠点」「体を動かす屋内遊び場」「学びを発表する多目的スペース」を設けよというのである。

それから③の観光機能として「地場産品を取り扱う物産店」が挙げられ、日曜市と連動したイベント会場やよさこい祭りをPRする施設を例示してある。

ここまで読んでみて、どれをとっても収益を上げられるような施設ではない。

では事業者はどうやって、年間1500万円の賃貸料を支払えるのか疑問が湧いてくる。つまり④の任意とされた収益施設しかないことに誰でも気づくことだろう。つまり「一般的な物販、飲食、宿泊サービスなどの商業施設や事務所。共同住宅は不可」とある。事業者にとってこの④が最も重要は部分となるが、こんな機能に公共性などあるのだろうか。

第一回目のプロポーザルでは高知大学のサテライト教室と移住者用マンションを提案した業者があった。共同住宅は不可というにもかかわらずである。つまり、マンションの賃貸料が事業全体を支える構想となっていたのだ。第二回目のプロポーザルではホテルだった。ともに「広場」や「家族」といったイメージからほど遠かった。

そもそも年間1500万円の賃料を取ろうなどけちな発想なのだ。事業者からすれば大きな負担となるが、高知市からすれば、課長職一人の人件費にしか充当できない金額である。どこのコンサル企業が持ち込んだアイデアかしらないが、50年契約というのも長すぎる。建物そのものの法定耐用年数を超えている。これでは売却するに等しい。この計画に沿って再度プロポーザルが行われても高知市の求める多くの機能を満足するものが現れる可能性は低い。建物、広場だと言っている場合ではない。一からの計画練り直しが不可欠だ。