高知競馬が好調なのは知っていたが、昨年度に1000億円に接近していることを最近知った。民間企業でトップはキタムラの1200億円に次ぐ稼ぎ頭となっている。共通しているのは、県外の売り上げが多いということである。

報道によると、中四国で唯一の地方競馬、高知競馬の2021年度の売り上げは過去最高の約949億円だった。20年度比11%増で、6年連続で過去最高を更新した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客だった時期もあったが、インターネット販売が好調で、全体の9割超を占めたという。

全国15カ所ある地方競馬の売上高は1兆円弱。どこも右肩上がりで入り上げ高を伸ばしているが、10年前、最下位だった高知競馬場は堂々3位にのし上がった。年間を通じてナイター競馬を実施していて、他の競馬場との時間差によって売上高を高めているのが特徴なのだ。

高知競馬は高知県と高知市による組合が経営。1985年、現在の地に移転したが、スタートから80億円の借入金を抱えていた。そして組合は毎年約5億円ずつ負担し続けた。しかし、経営は改善せず、2003年には88億円の負債を抱えることとなった。

2003年以降は、県と市が負債を清算。「これ以上赤字が増えれば廃止」と決めた。組合は、賞金や各種手当て、運営費などを削減し、全国の最低クラスに落ち込んだ。この緊縮ぶりは騎手・調教師の収得賞金額(5着以内で得られる賞金)にも影響し、2007年の稼ぎ頭の騎手、赤岡修次の年間収得賞金は3027万円でしかなかった。「連敗馬」ハルウララを売り出したり、「支援金」を募ったりしたが、2008年にはついに赤字に転落した。

2012年10月から始まったJRAの地方競馬の馬券発売開始、夜さ恋ナイター、一発逆転ファイナルレースなどの好評によりインターネット投票による売り上げが大幅に増加し、廃止の危機を脱し、賞金も大幅な増額できるようになった。

2016年には1991年の売得金レコード(約220億円)を26年ぶりに更新する253億円を達成した。その後、5年連続で年間売上レコードを更新している。重賞競走の賞金も軒並み回復している。高知競馬のダービーに相当する高知優駿の場合2000年までは1着賞金300万円だったが、2007年には27万円まで減少した。2013年から徐々に回復し2017年には1着500万円と過去最高額を更新、2022年にはついに1着1600万円と南関東、兵庫に次ぐ3番目の金額に達した。