輸入小麦を値上げしなくていい仕組み 夜学会259
輸入小麦の関税率はなんと252%。つまり、国際価格がトン当たり3万円だったとすると、小麦を1トン輸入すると7万5600円もの関税を支払うため、輸入価格は10万円を超えてしまう。
一方で、輸入小麦政府売り渡し価格は、2022年4月から17.3%値上げして、7万2530円となっている。この関税を払うよりも低価格で小麦を輸入できる仕組みをマークアップと呼ぶ。直近6ヶ月の政府買付価格の平均額に、政府管理経費と国内産小麦の生産振興対策に割り当てる経費を上乗せし、製粉業者に売り渡す仕組みだ。この結果、製粉業者は関税を払って輸入せずに政府を経由して買うことになる。
国際価格と政府売渡価格の差は、1.5倍から3倍弱になっている。その差額はく農林水産省の特別会計に計上される。年間約1千億円が、国内の小麦生産の生産振興対策に充てられている一方で、農林水産省の天下り団体にも多くのお金が流れている。マークアップ制度について、農水省は「輸入小麦の政府売渡制度は、食料として重要な小麦の安定供給と小麦を原料とした食品の価格維持を行う上で大切な役割を果たしています」と説明している。