11月23日、勤労感謝の日。予定していた高知市の休日無料バスを利用した「しらす丼ツアー」はドタキャンが続出して、2人だけの参加となった。はりまや橋バス停10時7分発のバスは予想通りの混雑となった。30分前に並んでいたつもりが、停車中の前のバスの後ろに停車したため、並んでいた乗客の列は崩れ、「やばい、これでは座れなくなる」と天を仰いだ瞬間、運転手が下りてきて、「今日は臨時便がすぐ来ますので乗れない方は後ろのバスをご利用ください」とアナウンスした。僕たちは無事、臨時便のバスに乗車して楽しい遠足のスタートとなった。

休日無料というサービスだってすごいのに、臨時便まで出す気配りに嬉しい気持ちになった。同乗していた中年の女性が話しかけてきた。「14日の日曜日も利用したんですが、その時も立ち席が出て混雑していました。でも運転手が臨時便が10分後に来ますので、立っているお客さんは降りて少々お待ちください」と案内したそうだ。2日前の21日の日曜日に下見に来た時は5、6人の立ち席があったが、臨時便はなかった。

高知市内から片道1時間半の行程は生活路線便である。南国バイパスを途中から左折して、ごめん益を経由して旧街道を走る。ふだんは2、3人しか乗らない。そうりゃそうだ。全区間片道1240円という運賃は決して安くない。自家用車に乗れば、3リットルのガソリンがあれば到着する。そんなほとんど空気を運んでいる高運賃の便が、無料になるとどうなるか。「しらす丼」は実はとってつけで、知りたかったのはそんな公共交通機関の利用の在り方だった。結果はもはや歴然としている。

毎日、空気ばかり運んでいる運転手からすれば、仕事に張り合いが出るというものだ。気のせいか知らないが、乗客への対応もふだんと違って丁寧そのものだった。バスに乗らなくなった市民のバスに対する愛着も湧くはずである。高知県のとさでん交通は県と周辺市町村の出資する公共交通機関である。市民の利便が第一であることが求められる。連れ合いとの安芸へのバス旅の会話で「一番は運賃よね。そして便数、さらに言えば運行時間」という話で一致した。安くなれば必ず乗客は戻ってくる。コロナ対策費で運行されている休日無料バスだが、行政はぜひとも、この結果を今後の公共交通機関の改革に生かしてほしいと思った。