衆院選の前哨戦と言われた参院補選。静岡で野党候補が65万票を獲得して勝利、共産党候補も11万票を獲得した。しかも35%という低い投票率でも結果である。ジャーナリストの佐藤真氏は「背景にリニア新幹線がある。川勝知事は工事で南アルプスの水系を守ることを工事再開の条件としている。そもそも静岡にはリニアの駅も益もない」と述べている。なるほどと思った。浜松市の市民は水道民営化の反対運動を勝ち取ったばかり。そもそも浜岡原発は再開のめどさえ立っていない。政治的課題があれば、有権者は動くのだと確信した。

野党陣営に求めたいのは、メリハリのあるマニフェストを主張してほしいということである。日本経済が30年間フリーズしたままであることの原因は自民党と霞が関官僚、そして財界の無策といっていい。不思議なことにコロナ対策で主要国ではインフレが進行し、中央銀行が相次いで利上げを行う、または示唆している。にもかかわらず、日本だけはその兆しさえみえない。それどころか日銀はゼロ金利、超過剰流動性を維持すると言っている。この9年間、2%のインフレをもたらすために、市場に多大な資金を供給してきた。何も起きなかった。起きたことはマーケットの崩壊だけである。今や1000兆円に及ぶ国債の半分は日銀の金庫にある異常事態をもたらした。それだけでない。日銀は株式市場から株式を大量に購入することになって、日本株は下がらなくなった。健全な市場メカニズムを壊したといっていい。