政府は4日、臨時国会を開催し、自民党総裁に就任した岸田文雄を首班指名する。その前に内閣は総辞職する段取りとなっている。菅内閣は岸田内閣に衣替えされるのだが、総選挙を間近に控えており、選挙後にまた首班指名が行われることになる。首相だけが変わって後の閣僚はそのまま続投という選択肢だってあるのに、そうしないのはなぜか。たぶん1カ月足らずの在任期間という閣僚が多く生まれることになる。臨時国会では首相の施政方針演説は行われる予定だが、任期は総選挙まででしかない。ほとんどの新閣僚たちは自らの選挙のため、大臣室の席を温める余裕すらないはず。言ってみれば、岸田首相は自ら「政治空白」を宣言するに等しい。

自民党総裁が交代してすぐに総選挙というケースは過去にないということである。本来ならば、第6次のコロナ感染拡大に備えなければならない重要な時期に「政治空白」が生むわけにはいかないはずだ。

そもそも今回の自民党総裁選は数々の矛盾に満ちている。9月末の任期満了を控え、菅さんでは総選挙を戦えないという党内の批判から自民党の顔を変えるのは自由だが、菅さんが総選挙まで首相を続ける選択肢だってあったはずだったと思っている。