友人ではりまや橋夜学会の参加者でもある松岡稔さんの投稿が高知新聞に掲載された。河井案里議員に対する自民党からの1億5000万円の「選挙資金提供」問題について、高知新聞は次期総選挙候補者への質問項目に「どう考えるか」を問うべきだというのが趣旨だ。候補者に「踏み絵」を踏ませることはいいあアイデアだと考える。2年前の浜松市議選で水道民営化が争点となった。メディアは候補者に質問しなかったが、市民団体が実施し、その結果を地元紙が大きく掲載した。ほとんどの候補者が「ノー」と答えたため、市長は記者会見をして民営化計画を凍結すると発表した。市民団体のアイデア勝利である。今の行政はいつのまにか物事を決め、議員も意味も分からず賛成する。不透明な行政が横行する。これまで市民は反対署名ぐらいしか反対する手段を持たなかった。これからは踏み絵という手段が有効になるかもしれない。何万という市民に署名を求めることはエネルギー的にいっても大きな壁となるが、候補者への踏み絵はそう難しいことではない。原発問題にしても一人ひとりの候補者にイエスかノーかと示してもらえば、有権者の投票行動にも多大な影響を与えることになる。問題はメディアがそれを行う勇気があるかどうかである。

 先日報道された自民党本部での二階俊博幹事長と甘利明税制調査会長の発言には驚かされた。
 2019年の参院選広島選挙区の買収事件で有罪となった河井案里元議員に対する自民党本部からの1億5000万円の送金問題について、党の幹事長と当時の選対委員長で、安倍晋三前首相の最側近である2人の議員が「関係していない」「1ミクロンもかかわっていない」と発言したこと だ。これに驚かない日本国民は1人もいないだろう。
 5月26日の本紙社説はこの選挙資金について、自民党は説明責任を果たせとの意見を述べている。これまでにも報道各社は社説、論説などで前政権下の森友学園、加計学園、桜を見る会、検察官定年延長など一連の問題に対して、くわしい説明をするよう述べてきたが、一度も国民の納得する説明を自民党から聞いたことがない。
 今回の選挙資金提供問題に関しては、自民党国会議員の中にも説明責任を果たすべきだと思っている人がいるはずだ。
 幸いこの秋までには衆院選がある。私は、報道各社の仕事として、今度の選挙で自民党候補として立候補する人たちに、この1億5000万円問題を明らかにするかどうかを質問項目に加えることを提案したい。これができなければ報道の役目は果たせないと思う。