高知市は、開会中の市議会9月定例会に、開館から18年を経た高知市文化プラザ「かるぽーと」(高知市九反田)の改修予算を提案している。その額ざっと40億円。ちなみにこれは最小限度の先行改修で、本当は115億円かかるという。えっ、そんなにするの?

9月19日の高知新聞の記事である。

僕も190億円で建設したかるぽーとの改修費が115億円かかると知って驚いた。八千代エンジニヤリングが実施した「劣 化 度 調 査 報 告 書」を見つけた。修復が必要とされる主な71カ所が写真入りで掲載されている。https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/attachment/94729.pdf

笑ってしまうのは、「壁紙の汚れ」「開店扉のさび」「かび」など普段の掃除で解決できそうなものが多くあり、ひどいのは「エスカレーターにハトの糞」などもある。「スピーカ、アンプ類は更新時期を過ぎている。 システムとして更新の検討が必要」などはひどい。使用できないのならともかく「更新時期」、つまり「減価償却」時期がすぎていると思われる表現でしかない。そんなものばかりなのだ。

どう考えても誰でもが日常的に対処できるようなことばかりが列挙されている。素人的にみて、1カ所数万円的な「改修」が続く。例えば、耐震対応をするのだというなら分からないでもない。もちろんそんなものではない。どうしたら40億円になるのか分からない。

そこで考えた。かるぽーとは以前から運営を「指定管理」で民間に委託している。株式会社四国舞台テレビ照明という企業が請け負っている。請け負っているのは「運営」だけであり、構築物や機器は高知市のものだから修繕は高知市が行わなければならない。高知市が直営していれば、日常的に壁紙を変えたり、さびを取ったりするだろうが、5年ごとに入札が行われる運営会社はよけいな経費を使いたくない。だから、劣化した設備を修繕するはずもない。そのままにしておく。長年そうしたことが続いた結果、今回の大規模な「改修」となったと考えられる。

指定管理はいまや多くの分野で行われている。業者としてはメリットがなければ参入しない。制度が続くということは民間に「うまみ」があるということでもある。初めは施設運営のコストダウンのために導入された制度だが、今となっては本当に安く運営されているのか分からないのだ。

問題はその「改修」をプロポーザル方式で公募したことである。一つひとつの「改修」は専門業者に発注すればいいことである。なぜ「カビ取り」から「スピーカーの取り換え」まで一括して発注しなければならないのか全く分からない。高知市は単に「めんどくさい」から金に糸目をつけずに「発注」したのではないかと疑われるのだ。

こんな改修予算が高知市の9月議会で通ってしまっているのだ。